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電気自動車の成長性は、ハイブリッドコンパクトよりも大きい!

カンターの「コンバージョン・モデル」が市場変化を半年以上前に予測

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日本自動車販売協会連合会の発表によると、2016年11月の車名別販売ランキングは電気自動車の技術を投入した日産「ノート」がトップとなりましたが、弊社は、カンター独自の消費者セグメンテーションおよび市場変化の予測モデルである「ConversionModel」(コンバージョン・モデル)を用いて、この電気自動車の成長性を予測していました。今回はこの「ConversionModel」がどのように電気自動車の成長性を予測したかをご紹介します。


■「ConversionModel」(コンバージョン・モデル)とは


ConversionModelは、購買行動のみを観察しているだけでは突発的に起こっているように見えるブランドスイッチやカテゴリスイッチを調査によって精緻に予測することを可能にします。100カ国以上、400カテゴリー以上、18,000プロジェクト以上で実施実績がある"世界で最も利用されているブランド診断モデル"のひとつで、ブランドの健康診断はもちろん、成長戦略策定とアクションのための示唆も提供することができます。


ConversionModelの基本理念は極めてシンプル:
「パワー・イン・ザ・マインド」と「パワー・イン・ザ・マーケット」。


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「パワー・イン・ザ・マインド」とはブランド力のこと。ブランドが目標を達成するためには、消費者にとって意味のある経験や関連のあるコミュニケーションを通して消費者と強力かつエモーショナルな関係を築くことが重要です。ConversionModelは消費者の「パワー・イン・ザ・マインド」を測定することにより、そのブランドが消費者にとってどの程度魅力的であるのか、また、消費者はどの程度購入/使用するつもりでいるのかを明らかにすることができます。


一方「パワー・イン・ザ・マーケット」とは市場要因のこと。消費者の欲求は完全に行動に変換されるわけではありません。確実に消費者の好意を行動へ駆り立てるためには、ブランドが市場で勝つために市場要因を拡張する必要があります。ConversionModelは「パワー・イン・ザ・マーケット」を測定することにより、消費者にとって、ブランドがどの程度購入しやすいのか、あるいは購入しづらいのかを明らかにすることができるのです。


ConversionModelは、このマーケットシェアを決定する2つの要因「パワー・イン・ザ・マインド」と「パワー・イン・ザ・マーケット」を測定することにより、ブランドスイッチやカテゴリスイッチ、マーケットシェアの変化を予測します。


■ 簡易的なConversionModelが車市場の変化を予測


半年以上前にあたる2016年4月に、カンター・ジャパンがディーアンドエム社と共同で簡易的なConversionModelを用いて車市場の分析を行った結果、電気自動車の成長性がハイブリッドコンパクトの成長性よりも高いという予測結果がでました。下記の図をみると、ハイブリッドコンパクトは当時パワー・イン・ザ・マインドがマーケットシェアを上回っており、将来的に2%マーケットシェアが伸びる可能性があったことを示しています。しかし、そのハイブリットコンパクトよりもさらに高い成長性が予測されたのが電気自動車です。電気自動車は3.0%もマーケットシェアが伸びる可能性があったことを示しており、「電気自動車の方がハイブリッドコンパクトよりも成長性が高い」ことを予測していたことになります。


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アウトプットの見方は以下を参照:


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さらに、この簡易的なConversionModelは、電気自動車が、コンパクトをはじめ軽自動車やハイブリッドセダンから多くのシェアを獲得し、さらにはハイブリッドコンパクトからもシェアを奪う可能性があると予測していました。ConversionModelでは、ブランドがどの競合ブランドからシェアを獲得できそうで、どの競合ブランドにシェアを奪われそうなのかを予測することが可能で、下図(図1)をみると、現状王者のコンパクトからハイブリッドコンパクトに多くのシェアが流れていくと予測されていたことがわかります。


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一方、次の図(図2)をみると、電気自動車は、コンパクトをはじめ軽自動車やハイブリッドセダンから多くのシェアを獲得する可能性があったということがわかります。さらに、図1のコンパクトからのシェアのシフト予測では、ハイブリッドコンパクトが電気自動車よりも多くのシェアを奪うとされていましたが、図2の電気自動車のシェア獲得予測をみると、「電気自動車は当のハイブリッドコンパクトからもシェアを奪う」と予測されていました。


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アウトプットの見方は以下を参照:


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そして先月、電気自動車である「ノート e-POWER」を発売したばかりの日産「ノート」が乗用車車名別新車販売台数1位を獲得したというニュースが出ているとおり、既にこの簡易的なConversionModelの予測が現実のものになり始めています。ニュースによると、日産車が1位を獲得するのは約30年ぶりとのこと
http://response.jp/article/2016/12/07/286585.html )。約30年ぶりの快挙ということから、ノートe-POWER発売が市場のトレンドにぴったりはまったことがわかります。


■ さらに完全版のConversionModelを実施すると打ち手が見えてくる


では、日産「ノート」はなぜここまでの快挙を達成することができたのでしょうか。電気自動車への購入意向を牽引しているのは何なのでしょうか?燃費でしょうか?加速でしょうか?それとも革新性でしょうか?また、この電気自動車への欲求を購買に転換するにあたって障壁となっているものはどういうものなのでしょうか?


前述のとおり、電気自動車はコンパクトから最も多くのシェア流入が見込まれていたことがわかります。ということは、日産「ノート」が電気自動車でありながら、コンパクトでもある、という車種のアベーラビリティが鍵になったということでしょうか。または、電気自動車の課題とされていた航続距離を改善したこと、つまりバリアを克服したことが大きな要因だったのでしょうか。

完全版のConversionModelを実施すると、日産「ノート」1位の要因まで特定することができます。つまり、フルバージョンのConversionModelでは、市場変化の予測だけでなく、ブランドのパワー・イン・ザ・マインドとパワー・イン・ザ・マーケットを強化するには具体的にどういう戦略やアクションをとっていったらよいかという示唆を得ることができるのです。下記の図は、そのアウトプットが実際にどのように提示されるかを示しています。


【アウトプット例】

パワー・インザ・マインドを強化するには...


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パワー・インザ・マーケットを強化するには...


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■ 「Kantarグロースターゲティング」と組み合わせて、さらなるグロースセグメントに直接リーチ


また、このConversionModelの結果を、ターゲティング付加価値ソリューション「Kantarグロースターゲティング」と組み合わせることによって、特定のブランドやカテゴリーの消費が増え得るグロースセグメントを特定し、広いリーチの規模を持って広告配信を行うことが可能になりました。以下の図のように市場全体の中から「既存顧客の中で購買が増え得る層」、と「競合ユーザーの中で自社ブランドに流入し得る層」をグロースセグメントとして判別することができるのです。


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つまり、今回のケースであれば、電気自動車のグロースセグメントを判定し、さらにアドテクノロジーを活用することで、このグロースセグメントに対して情報価値を損なわずに直接的にリーチすることが可能になるのです。


詳しくは前回のプレスリリースへ:


リリース全文(PDF)はこちら


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