WHAT'S NEW


[記事]中国の消費者についての7つの質問。

Kantar Media


CNRS-TGI Chinaにより毎年実施されている『China Resident National Survey』から導かれた、中国の消費者に関する7つの質問(とその回答)に関する記事です。回答者は、Shen Ying, General Manager Media & Consumption Behavior, CTR Market Research(以下SY)とKevin Collett, Kantar Media TGI, China Manager(以下KC)です。(2011年12月)


Q1:
高級品であれ旅行であれ、この調査では、口コミが消費者にとって極めて重要な情報源として出てきます。ブランドは、中国でのソーシャルネットワークの人気を利用し、「友達」から商品について聞きたいというこの強い思いをどのように利用することができますか?


SY:中国では、友達や家族が、欧米諸国で一般的にみられるよりも影響力があります。これは、部分的に儒教的な社会規範と家族を重視する文化的な価値観によります。加えて、中国の消費者は、かつてなく増えている商業的なノイズにますます押しつぶされてきており、選択肢を拡大しているものの、時間の量は減っています。彼らは、ナビをしてくれる信頼できるガイドを必要としており、オンラインのソーシャルネットワークは、カギであり、信頼できる情報源となりつつあります。


KC:ブランドは、志向の似た個人とつながり、製品やサービスの経験や意見を共有できるプラットフォームを提供することによって中国の消費者ニーズをサポートすることができます。良い例がJohnson & JohnsonのBabyCentreです。これは、中国のユーザーにフォーラムに参加してもらい、オンラインのコミュニティで自分たちの経験、不安、サポートに関して共有することを可能にしています。彼らが自己選択するようになるにつれて、そのようなプラットフォームは、伝統的なメディアよりもターゲットが明確であり、コアとなる消費者グループを巻き込む機会を提供してくれるので、結果として徐々に高いコンバージョンや選好・ロイヤリティにつながります。


Q2:
ブランドは、他にどのような方法で中国での「口コミ」マーケティングに影響を与えようとしていますか?


SY:特に二つの方法、すなわち大きな(自然)災害が起こったときなどの寄付や企業スポンサーを通じてです。
中国の漢方ドリンクWang Loa Ji'sは、四川大地震基金に寄付することで人々の心を捉えました。そして、スポーツウエアメーカーLi Ningが北京オリンピックのオープニングセレモニーに参加し、自分たち(ブランド)を差別化し、信頼できるアイコンスポーツブランドとして位置づけました。ブランドと原因は、目的において相互補完的でなければなりません。


KC:友達や家族が製品を推薦すれば、マスメディアを通じて放映されたメッセージに効果的で強力な賛辞となります。そして広告コストが急速に上昇する中国では、ブランドオーナーとプランナーが口コミをますます影響のあるマーケティングチャネルだということに気づいてきています。CNRS-TGI Chinaの革新的な「口コミ」に関する質問は、マーケティング担当者がバイラルマーケティングを最大限活用するのに役立ちます。それは、最も影響力があり知識の豊富な消費者をターゲットにし、理解できるようにしてくれるからです。


Q3:
マイクロブログ(Weibo)の拡大は、情報へのアクセスの自由にとって何を意味するのでしょうか?


SY:人々は、もはや自分たちのために作られたコンテンツを受け身で一方向的に消費することだけに限定されません。マイクロブログは、最近の進化したWeb2.0であり、情報共有をより利用しやすく、持ち運びやすくしてくれます。この「自分メディア」の時代には、すべての人が、潜在的にワンクリックで全世界にメッセージを送ることができます。それゆえ、組織とブランドは、このますます透明化する世界で自分たちの評判やステークホルダーの信頼を維持するためオープンで正直にコミュニケーションすることに慣れなければなりません。コミュニケーションプランニングは、よりチャレンジングで複雑になってきており、リサーチ手法は、マーケティングとメディア業界に、消費者の習慣の変化を理解するツールを提供するために、進化し、変革しなければなりません。


KC:マイクロブログの革命的なことは、それが中国において共有される情報のスピードを上げたことです。より多くの人々がモバイルデバイスを使って自分たちのマイクロブログにアクセスし、投稿するにつれて、人々は、どこにいようとも自分たちのネットワークに対して意見や毎日の経験を即座に共有できるようになりました。食べ物は、中国社会の中で重要な役割を担っており、中国全土のレストランでみられる最近の現象は、人々が食事の写真を携帯電話で撮影し、自分のマイクロブログに即時に投稿する光景です!


Q4:
この調査は、男性のスキンケア製品の使用の高まりと同様に整形手術の増加についても述べています。これは、「欧米の」美に対する考え方に影響を受けているのでしょうか?


SY:中国の男性、特にプロフェッショナル(な職業の人々)は、社会や専門的領域でより成功するために容姿を良くしようと自分たちのイメージにより大きな注意を払うようになっています。彼らは、良い見栄え自体が彼らの自信を高め、キャリアの階段を上がり、より大きなサラリーを獲得できるようにしてくれると期待しています。スキンケア製品の使用にとっては、天候もまた重要な要因となっており、北の方に住む男性は、乾燥がひどいという気候条件を理由に、スキンケア製品を使っています。
中国女性が美容整形をするのは、韓国の影響がかなり大きいです。その理由の一つは、韓国のドラマやポップスターの人気からです。


Q5:
中国の消費者は、欧米のブランドに魅せられていますか?それともローカルブランドにより忠実ですか?


SY:中国人は、世界で最も実用的な消費者です。人前で使用するために購入される製品は、使う人のステータスや社会的地位を高めるのに役立つ国際ブランドになりがちです。一方、プライベートで使う製品については、ブランドよりも価格選好になります。
中国の消費者が国際的ブランドを好むもう一つの重要な要因は、赤ちゃん用品のように品質と安全性が重視される製品です。人々は、より良い製品に惹かれます。中国の消費者は、価格やチャネルよりもよりブランドに価値を置きます。この主な理由は、ブランドの冠された製品が、ブランドのない製品よりも安全で高い品質で、信頼できると信じられているからです。しかし、多くの中国ブランドの品質問題に頻繁に遭遇しているからか、人々はより欧米ブランドを信頼する傾向があります。


KC:伝統的な習慣や価値観を表す中国ブランドは、何年にもわたって成功し利益を得ています。このことから、伝統的な中国の薬を含むシャンプー、スキンケア、歯磨き粉や栄養サプリメントなどは、2008年から2010年にかけて大幅に浸透し、増加しました。


Q6:
中国は、しばしば「世界の工場」とみなされます。しかし、この調査が述べているのは、消費者がますます高級ブランドに引きつけられているということです。中国の高級品市場はどのように進化しているのでしょうか?


SY:高級品ブランドの構築は、長期的なプロセスとなります。ハイアールなどの多くの国内企業は、市場の低価格品で成功をおさめ、徐々にハイエンドの製品に移行してきました。
高級品は、長期的なビジョンと、一貫した品質と革新を必要とするセクターです。商業的かつ戦略的な短期主義傾向があるので、中国は、自国の成長する高級品ブランドを発展させるための継続的なマネジメント、マーケティング、品質管理などを現在は欠いています。徐々にマネジメントの専門性を培ってきた高級ブランドは、中国経済がメーカーからイノベーターへの食物連鎖に移行するにつれて、成長するでしょう。そしてまた、中国には、豊かな5,000年の歴史と文化的遺産があり、高級ブランドを志向するならば、海外ブランドをまねして、単なる模倣ブランドにならないようにしなければなりません。そのユニークな中国のアイデンティティに自信を持ち、利用し、高級品の経験と融合させることが、中国の高級ブランドを構築する基盤となるでしょう。


KC:中国の地位が世界の舞台において上昇し、海外の消費者が中国のものに興味を持つにつれて、中国の高級ブランドを買いたいと思わせる機会が生じています。中国ブランドが従うべき戦略は、成長のために海外を志向することです。海外で成功したという中国市場へのフィードバックになりますし、その成功が、「認められたという証拠」、「外での名声」となり、自信を植え付け、中国の高級ブランドをステータスシンボルとして誇りを持って中国で消費されるようになるでしょう。


Q7:
欧米では、熱狂的な消費の上に成り立っている経済モデルには限界があると見られます。ヨーロッパやアメリカの経済危機から、中国は何を教訓としていますか?


SY:経済が減速するときに、中国の高い貯蓄率はかなり効きます。しかし、中国と欧米は、経済発展のレベルが全く異なります。
長期的には迅速かつ持続可能な経済成長を維持するために、中国は、健全な社会福祉や医療環境を整備し、人々により消費を促す必要があります。
CNRS-TGI中国の対象者の平均貯蓄率は、現在50%です。我々は、中国人の収入が継続的に上昇し、消費に回る収入の割合が増えると期待しています。


KC:支出の習慣に関する中国人と欧米人の違いの一つは、次のことです。すなわち、欧米人は、短期的なニーズを満たすためにまだ稼いでいないお金で製品やサービスを消費します。一方、中国人は、長期的な安全やセキュリティのために貯金をするか、教育や投資に消費する傾向があります。世界的な経済危機から、欧米の人々は、ハイパー消費モデルに疑問を持っています。そして、先進国では、伝統的に中国で見られるようにますます消費にコンサバになり、貯蓄するようになってきているかもしれません。将来に対する強い前向きな展望を抱いている中国の消費者は、より自信のある消費者になる一方で、これは、輸出主導に依存する中国経済を相殺し、内需を刺激することを目指す政府の政策によって奨励されています。


※この記事のオリジナルはこちらです。


関連記事

2012.04.26 [調査]中国に関して知っておくべき10のポイント。