2020.08.12

ブランドの回復と成長を加速する方法―ブランドZ Global 2020 のラーニングポイントをご紹介

WPPとKantar は、ブランドZ調査の最新版「世界で最も価値のあるブランドランキングTop100」および、調査レポートを公開しています。このグローバルブランドランキングは毎年発表されており、企業の財務実績、業務分析データよりブランドが生み出した財務価値と、消費者視点でのブランドの貢献度を掛け合わせ、そのブランドがもたらす価値を算出しています。



さらに、これまでのブランドZ調査では、価値が高く強力なブランドは優れた株主利益を生み出し、リーマンショックなどの景気後退の影響を受けにくく、回復が早いことを実証してきました。今回ランキングしたトップ100ブランドを分析すると、これらのブランドはCOVID-19のような不況に直面したとしても、すばやい業績の回復とブランド価値の維持ができることを示しています。​つまり、マーケティング活動において、ブランディング(ブランド価値の構築)はもはや必然であることを示唆しています。





本記事では、最新版「ブランドZ 世界で最も価値のあるブランドランキングTop100」ランキングデータから学ぶことができる5つのポイントをご紹介いたします。

1:ランキングのトップブランドは、消費者からの評価が圧倒的に高い

世界のトップ100ブランドは、Kantarのブランド価値の評価指標における成功のための3つの要因(意義性、差別性、想起性)の全てのスコアが平均よりもはるかに上回っており、ブランドとして非常に健康な状態にあるということができます。

2:過去10年のマーケティング努力がトップブランドのブランド・エクイティを大幅に引き上げた 

2008年頃の世界金融危機と比較すると、今回のこの困難な状況下であってさえも、トップ100のブランド・エクイティは落ち込むことなく、むしろ高くなっています。



企業やブランドがブランド構築への投資の重要性を理解し、その結果、より強く柔軟な対応を行ってきたため、10年前と比較するとブランド・エクイティは大幅に向上しています。Covid-19が与えたブランドへの直接的な影響は、10年前の大不況の影響よりもはるかに小さいことが分かります。これはトップブランドのマーケティング力とその効果が10年前よりも向上していること、マーケティングに一貫投資することは、こういったビジネス危機を乗り切るのに役立つことを意味します。

​ブランドを構築し、持続的に長期的な効果を生み出すマーケティング手段(ブランド・ビルディング)は、短期的な効果を促す手段(パフォーマンス・マーケティング)とは一般的に異なることが分かってきています。長期的なマーケティング努力の中には、短期的な効果を生み出すものもありますが、短期的な効果の蓄積がブランドへの愛着や収益性の高い成長性につながるわけではありません。そのため、広告の長期的な効果がどのように働くのか、短期的な取り組みとどのように両立させることができるのかを理解することが重要です。

※ブランド・ビルディングと、パフォーマンスマーケティングをバランスさせる方法 はこちらで詳しく解説しています。

3:ブランドの差別性が、困難からの回復と成長の最大のカギとなる

差別性は、ブランドの競争上の優位性/競争力となります。その差別化が有意義だと消費者はよりそのブランドを選ぶようになります。差別化は、消費者にとって機能的にも感情的にも魅力的でなければなりません。

今年のランキングでは、自動車のTOYOTA(トヨタ)は前年よりはランクを落としていますが48位、自動車カテゴリーランキングではトップブランドとなりました。日本においても、ブランドZのランキングが始まって以来、TOYOTAは、常に日本のトップブランドとしてランクインしています。その勝因は、強い差別化ポイントにあると言えます。


Kantarは、あるブランドの価格プレミアムが妥当だと認められるためには、ブランドが有意義に他と異なると思われる必要があることから、ブランドZのデータベースをもちいてプレミアム指標を見出しました。プレミアム価格の設定は、販売量を増やすことよりも純利益に大きなプラス影響を与えるため、ブランドにとってプレミアム価格を設定できることは重要です。プレミアム価格の設定は、販売量を増やすことよりも純利益に大きなプラス影響を与えるため、ブランドにとってプレミアム価格を設定できることは重要です。つまり、ブランド固有の領域を開拓し、顧客との接点の機会をつくり、幅広いエコシステムの提供することが、成長への最強のルートとなります。

4: ブランドの成長のカギは実用的な工夫を施すこと

“創造性”は世界のトップブランドにとって、重要な特性です。Amazon、Apple、Googleのように革新を続けるテクノロジー分野の大手企業は、この両方をうまく組み合わせて、消費者の生活と親密につながり続け、選ばれるブランドとなっています。

Covid-19によって人々の生活が変わり、以前よりオンライン環境の中で過ごす時間が増えたことで、イノベーションと創造性がブランド成長のカギを握っていたことは明らかです。危機を成長機会に変えたブランドは、消費者の生活の中のブランドの役割や、そのブランドを購入する理由を思い出させ、ニーズの変化を素早く察知してイノベーションを起こし、消費者が購入しやすくなる工夫を行っています。

5:消費者の信頼を得ることが、ブランドのゴール

「信頼」は購買決定における極めて重要な要因です。



従来、消費者は、「ブランドを保有する企業が果たす責任によって得られる信頼」と、「ブランドが持つエキスパートな情報に対する信頼」という2つの信頼の要因に基づいて、信頼が確立すると考えられていました。​しかし昨今は、「実績があり、専門性が高いこと(Proven Expertise)」に加え、「消費者に期待されること(Inspiring Expectation)」 が消費者のブランドに対する信頼構築のカギとなっていて、それは、「誠実性 (Integrity):約束を実行する」、「一体感 (Identification):人と人とのレベルでつながる」、「インクルージョン (Inclusion):親近感を築く」という3つの要素で成ることが分かっています。

最後に


  1. ブランド価値を高め、「ちから」をつける
  2. 強力なブランド力で需要を促す
  3. 顧客視点でのブランド価値を高める
  4. ビジネスモデルをデジタル化する
  5. 信頼性とサステナビリティを正しく理解する

まさに今が「その時」です。

今回のCovid-19のような危機によって、消費者は経済の先行き懸念から以前よりも考えて購入するようになり、ブランドへの信頼と製品やサービスの価値をより重視して選択するようになります。人々の行動や態度がこれまでにない速さで進化するなか、新しい習慣が生まれ、人々の製品やサービスへの関わり方、また利用方法も変わってきています。

そして、多くのブランドが、ブランドの業績回復に向けて計画を立て、いま動き始めています。

私たちの「ブランドZ」調査によると、急成長を遂げている企業には共通していることがあります。それは、スピードと機敏さでイノベーションを起こすことです。こういった変化の時代には、素早い回復と、長期的な成長を促進するための「イノベーション」の重要度はさらに高まっています。この激変する市場環境が、イノベーション業務に関わる皆様にとって、絶好の成長機会となるために、Kantarはこの時代に相応しい、イノベーションのアイディアや開発プランの査定方法についてご提案いたします。

そのうちの一つとして、Kantar独自のセルフ型オンデマンド調査プラットフォーム「カンター・マーケットプレイス」上で、低コストかつ、迅速にアイディアやコンセプトなどのイノベーション評価を実施することが可能となりました。この激変する市場環境が、イノベーション業務に関わる皆様にとって絶好の成長機会となるよう、今の時代に合ったイノベーションのアイディアや開発プランの査定方法について当社がご提供できる新サービスとなります。


また、デジタルシフトはより加速するでしょう。今回の新型コロナによる危機は、人々の生活様式を半ば強制的に変容させました。Kantarが世界60カ国以上で実施したCovid-19 Barometer調査によると、人々の在宅時間が増えたことや、娯楽や新しい生活に適用するための情報を求めたことで、テレビやオンラインメディアの利用が日本だけではなく世界的に大きく伸びていました。デジタルを駆使したブランドコミュニケーションを科学することがより求められるなか、パフォーマンスマーケティングを中心に発展してきたデジタルマーケティングで築かれた成功体験やノウハウは、ブランドコミュニケーションでは必ずしも機能しません。パフォーマンスマーケティング(獲得型)は、ブランドコミュニケーション(育成型)とは根本的に考え方も効果を生みだす手段も異なるからです。

詳しくは、Kantarの持続可能かつ収益性の高い成長を可能にするトータルマーケティングROIの白書(日本語)をご覧ください。


私たちはブランドの成長・強化につながる対策を皆様と一緒に考えていきます。未来に備えるための新しいマーケティングプランやブランドビルディングの方法など、この状況を乗り切るための状況に応じたアプローチは他にもございますので、まずはお問合せください。

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