ブランド構築のためのメディアチャネル活用法

適切なメディアミックスにすることで、キャンペーン効果は約3倍に。クロスメディア投資を最適化するための基本ステップとは?


ソーシャルメディアの進化と共に、消費者とマーケターが利用するメディアチャネルの数は増えています。この状況に置いて、テレビ、プリント、店頭といった従来のチャネルは引き続きブランドに貢献していますが、新しいチャネルの動向を追いつつ、従来チャネルの最適化を図ることが必要不可欠となっています。しかし、これを実現するのは難しい上に、時間がかかります。

さまざまなメディアを用いてマーケティング活動を行う重要性は明らかですが、それを最適化するのは至難の業です。KANTAR CrossMediaデータベースの分析では、適切なメディア配分により、2.6倍のキャンペーン効果が得られることがわかっています。一方で、KANTARが毎年実施している 「Media Reactions 2022」調査では、マーケターの間でのメディアミックスへの確信度は低下しているのも事実です(67%→61%減少)。

メディア特性を考慮したメディアミックスの最適化

複数メディアを横断したキャンペーンでは、各メディアの特性を活かし、そのポテンシャルを最大限に引き出す戦略のもと、様々な方法で狙った層に効果的なメッセージを届けることが目標となります。これは、カスタマージャーニーと連動した綿密な計画である必要があり、キャンペーンの成否に関わる最初のステップが、適切なメディアミックスといえます。

先述の調査(KANTAR 「Media Reactions 2022」)では、そのメディアにおける広告への受容性が高い場合、キャンペーン効果は7倍にも及ぶことがわかっています。そのため、消費者の間でより広告が受け入れられるようなメディアを活用することは、キャンペーンを成功へと導く重要な要素となります。

同調査では、広告に対する受容性が最も高い広告チャネルやメディアブランドを発表しています。広告チャネルに関しては、特にオンライン動画広告、音楽ストリーミング広告、インフルエンサーコンテンツなどの、オンライン広告チャネルの受容性は年々増加傾向にあり、メディアブランドとしては、最も消費者に支持された広告媒体は、トップからAmazon、TikTok、Spotify、Google、Snapchatという結果となりました。(下図参照)

参考:グローバル広告エクイティランキング(KANTAR 「Media Reactions 2022」調査より一部抜粋)


しかし、その選好度は市場によって異なり、日本ではradiko(ラジコ)、アメリカではWSJ(ウォールストリートジャーナル)というように、およそ半数の市場で現地メディアブランドが各市場で最も支持されています(下図参照)。このように、市場によっても異なりますが、さらに消費者とマーケターでもこの選好度は異なります。

参考:市場別広告エクイティトップパフォーマー(KANTAR 「Media Reactions 2022」調査より一部抜粋)


さらに、かつてないほど多くのブランドがスピード感を持って広告メッセージを発信する中、あなたのブランドからのメッセージはそれらに簡単に埋もれてしまう危険があります。一貫性を保ったブランドプレゼンスが最優先事項である一方、どのメディアでも全く同じメッセージの一点張りでは、複数メディアを用いたキャンペーンを活かしきれない場合があります。そこで、クロスメディアキャンペーンでは、各メディアに合わせて適切なチューニングした上で、適切なクリエイティブを適切なメディアに出すことが重要となります。

そのため、ブランドアイデンティティ、コミュニケーション戦略、キャンペーンの目的を総合的に考慮し、適切なバランスを見つけることを提案します。あなたのブランドと同様、各メディアブランドでそれぞれの特性が異なるため、広告出稿における確実性は、そのメディア特有のコンテキスト(文脈)を正しく理解することです。

各コンテクスト(マーケット文脈、メディア特性)を考慮したメッセージを訴求した好例として、ジョニーウォーカーの『Keep on Walking』キャンペーン(2022年KANTAR Creative Effectiveness Awards TV、デジタル、静止画部門受賞)があります。このキャンペーンでは、メキシコではTV、タイではデジタル、UKでは静止画といったように、異なる文化を持つマーケットに対して異なるメディアを通じて、明確なメッセージに調整の上、効果的にブランドを訴求した事例です。


メディア投資の最適化

ここまで、広告を出稿する場所(=メディア)の重要性についてご紹介してきましたが、次に考えるべきことは、そのメディア投資のバランスです。  

考慮すべき要素は多岐に渡りますが、各チャンネルでのブランド効果を確認する一つの指針として、その投資額に対するブランド効果を見る方法があります。KANTAR CrossMediaデータベースからのメタ分析では、どのチャンネルが「ハードヒッター」か、どのチャンネルが最も投資効率が良いかを明らかにしました。

参考:チャネル別の出稿ボリューム(投資額,GRP)及びブランド効果(認知,連想,意向)比率
(グローバルKANAR CrossMediaデータベースより ※2022Q3 – 1,214キャンペーン)



テレビやOOHのように投資のシェアが態度変容効果のシェアよりも低いチャネルがある一方、店頭(POS)やFacebookなどではそれが逆となっています。そして、それは、認知、連想、意向といった目的とする指標によっても変わってきます。そのため、そのブランドの課題に応じて、リーチさせたいターゲットオーディエンスは誰なのか、そして、最適なチャネルの組み合わせは何なのかを良く理解する必要があります。そして、あるチャネルには過剰に投資しやすく、あるチャネルには過小に投資しやすいこと、そして、キャンペーンごとに効果的なフリークエンシーが存在することは気に留めておいてください。

KANTARはブランド構築に最適なクロスメディア戦略を立てるサポートをします。

統合されたメディア戦略では、マーケターは一歩引いて全体を俯瞰し、複数メディアを通じて一つのまとまったストーリーを伝えられているかを確認するのが重要です。


先述のKANTAR「Media Reactions 2022」レポートは、広告主、メディアエージェンシー、メディアオーナー、マーケターがメディア意思決定を行う際に活用されるメディア事情を探索する年次調査です。本レポートのブックレットはダウンロードできる他、過去のウェビナーもご覧になれます。

  • 各国で好まれているメディア・チャンネルとメディアブランドのランキングとその強み・弱み
  • メディア・チャンネルとメディアブランドの浸透度と広告受容性のトレンド
  • 広告主、代理店、媒体社にとってのメディアに関する示唆


クロスメディア戦略を成功に導くためには、その効果を可視化し継続的にラーニングを得ることが肝心となってきます。KANTARのキャンペーン効果測定ソリューションCrossMediaは、それぞれのメディアチャネルについて、リーチとフリークエンシー、態度変容効果、そして、投資効率のパフォーマンスを測定し、ブランド構築のためメディアミックスとメディア投資の最適化をサポートいたします。
お気軽にお問い合わせください。



原文:https://www.kantar.com/inspiration/advertising-media/how-should-marketers-use-media-channels-for-brand-building
翻訳・編集:高橋なお , Media & Digital

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