ブランド エクイティ: ビジネス成長を促進する秘密兵器



マーケティングの仕事をするのに、今は大変難しい時期です。ここ数年の変化のスピードは驚異的です。記録的なインフレとパンデミックの遺産として、人々が商品やサービスをどのように消費するかの筋書きは、何度も書き直されています。私たちのデータによると、現在困難にもがいていると回答した世帯の数は、過去 2 年間で 2 倍になりました。


顧客の支出減とコスト増という 2 つの課題に同時に対処するにつれて、マーケターはマーケティング予算の削減に直面しています。このような状況において、ブランドエクイティは、マーケットシェアを維持し、新しい成長の道を見つける力をマーケターに与えてくれます。


ブランド・エクイティは、消費財の最も強力な無形資産であり、ブランドを競合から差別化し、消費者の購買意欲を高める付加価値であると認識されています。企業の支払い能力、売上、収益性はすべて、ブランド エクイティによって支えられています。マーケターにとって、これは重要な武器であり、最新の分析手法によって、これまで以上に簡単かつ迅速に測定し、さらに大事なこととしてその測定したエクイティを活用することができるようになっています。

価格の背後にある力

従来、ブランド エクイティの定点観測とその活用にかかるコストと時間から、豊富な資金を持つ大きなブランドや大きな成長を見越して投資されるブランドでなければ、なかなか手を出しづらいものでした。今では、新しい自動化された調査手法のおかげで、ブランドエクイティの評価をわずか 4 日間で、従来よりもはるかに低コストで行うことができます。これは重要なことです。小規模な市場参入者を含め、より多くのブランドが自社のブランド エクイティを評価し、そこから、新しいオーディエンスのリーチ、価格戦略、成長レバーの特定など戦略などを導き、ビジネスゴールを達成するために活用できるからです。

変化が激しい現在の状況を把握することは重要です。 半年前に流行していたトレンドは、年が明けたころにはすでに次のトレンドに移ってしまっている可能性があります。適切なタイミングでブランド エクイティを測定して、それに基づいて軌道修正を行うことで、ブランドを競合他社よりも優位に保ち、顧客のニーズ変化に迅速に対応することができます。


ブランド エクイティが今後数か月でブランドに大きな影響を与える可能性のある重要な領域が 2 つあります。それは、プライシングパワー(高値行使力)とイノベーションです。後者については後述するので、まずはプライシングパワーです。ブランドの評判や、ブランドに対する憧れ、商品の品質など消費者が持つブランドに対するパーセプションが、提示された価格に対して消費者が感じる納得感に影響を与えます。価格を納得させる知覚価値がどういった要素なのかを正しく理解することができれば、オペレーション上の変更を最小限に抑えて収益性を高めることができます。


例として、スポーツ・栄養ドリンクのカテゴリの話を取り上げます。エナジーブランドであるGrenade と食品代替ブランドの Huel は高価格ですが、どちらも消費者からの強い支持を受けており、力強い成長が期待できます。なぜでしょうか?それはすべて、彼らが築き上げたブランドエクイティに帰結します。彼らは、味という基本的な構成要素を正しく理解した上で、賢い投資によってそれにプラスアルファを加えているのです。Grenade は堅牢な e コマース プラットフォームを持っており、それでいてできるだけ多くの人に製品を届けるために小売業者にも広く流通させています。シングルバータイプの商品も、​ブランドを試すのを容易にしています。一方、Huel は、デジタルマーケティングを通じて、食事の完全なる代替品としてその便利さやシンプルさをメッセージとして適切に伝えています。このような努力の結果、消費者は Huel と Grenade をお店で探し、多少高い価格であっても喜んで支払うようになりました。

インテリジェント・イノベーション

人々の節約志向が高まるにつれて、ブランドは多様化し、補完的なカテゴリーで機会を探す必要があります。ここでもブランド エクイティが重要な役割を果たします。あるカテゴリでビジネスパワーを発揮しながら、別のカテゴリで新しい道を開くことを助けることができるからです。その好例が、英国で「国民的人気」のソーセージメーカーであるリッチモンドです。リッチモンドは、ミートフリーのカテゴリーに参入し、その味わいへの信頼と消費者からの評判を活用して、競合他社との真の違いを生み出しています。リッチモンドはその歴史とブランド エクイティによって、成長するミートフリーのカテゴリおいて、平均以上の価格に納得感を得て、無名のブランドや味への期待が低いブランドをおさえて良いポジションを確立しています。


経済が逼迫すると、企業はイノベーション予算を削減したくなりますが、新しいラインや製品への投資を継続することは、ライバルの一歩先を行き、新しい収益源を生み出し、変化する顧客のニーズに適応するのに不可欠です。ブランド エクイティを活用するということは、自信を持ってイノベーションを行うことができるということであり、成功する確率が高くなることを意味します。


最後に、企業はブランド エクイティを使用して市場へのルートを守り、配荷を維持することの重要性を忘れてはなりません。 2023 年も、ブランドは店頭の貴重なスペースをとるに値する理由を示すようプレッシャーを受け続けるでしょう。消費者が競合ブランドよりも自社ブランドを選択する理由を示すことができる企業は、買い物かごでの地位を維持するだけでなく、小売業者に対して自社ブランドの価値を正当化する能力も備えています。

あなたのビジネスアジェンダを前に進めるために

ブランド エクイティは王様です。これを正しく測定して活用することで、価格や、品質、機能にとらわれず、類似品ではなくあなたのブランドの商品を、何度も何度も選択するロイヤル顧客を生み出すことになります。ブランドエクイティは、市場シェアを維持および拡大することや、適切な価格を設定すること、新しい分野に参入すること、そして、収益性を高めることをサポートできます。 ブランド エクイティを2023年の秘密兵器にすることで、マーケターは経済的な逆風に翻弄されていたところから、運転席に戻ることができます。

カンターのブランドエクイティ評価ツールについては、こちらをご覧ください。


原文:Helen Rowe is Brand Guidance Consultant at Kantar 
https://www.linkedin.com/pulse/brand-equity-your-secret-weapon-drive-growth-helen-rowe/?trackingId=7zuF8z7hRQ281d7TBx6I%2BA%3D%3D



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