2500ブランド以上の分析で見えた「CX×ブランド」の真実とは?

”顧客体験とブランドのズレ”が成長を止める理由。今すぐ見直すべきCX戦略

「なぜ、うちのブランドは選ばれなくなったのか?」 

そんな問いに、明確に答えられるでしょうか?

顧客体験(CX)が重要だということは、多くの企業が理解しています。 
しかし、「CXがブランドの約束(ブランドが顧客に提示する価値やイメージ)と一致しているか?」までを真剣に見つめているブランドは、驚くほど少ないのです。

Kantarの最新分析は、ブランドの差別化においてCX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)がいかに重要かを示しており、ブランドの約束(ブランドが顧客に提示する価値やイメージ)とCXの間のギャップを埋めることが、成長を加速させる鍵になると述べています。 



CXとブランドが“ズレる”と、何が起きるのか?

例えば、顧客がWeb広告やSNSで「信頼・やさしさ・親しみやすさ」といったブランドイメージに惹かれたとします。
しかし、実際にそのブランドのサービスを利用したとき、対応がマニュアル的で冷たかったら…?

その瞬間、ブランドへの期待が裏切られ、次に選ばれる確率は急激に下がるのです。

実例:銀行業界のCXギャップ

Kantarは欧米の小売銀行100社以上を分析し、CXとブランドの約束のズレが顧客の「好意度(preference)」にどのように影響するかを調査しました。 

  • 約束と体験が一致していない銀行 → 平均好意度「32」 
  • 一致している銀行 → 平均好意度「61」


その差はなんと「29ポイント」。このギャップが顧客獲得・維持に大きな影響を与えているのです。 



なぜこのギャップが広がっているのか? 

近年の急速なデジタルシフトにより、「効率化」や「便利さ」がCXの主軸になりすぎてしまった結果、“ブランドが掲げる感情的価値”が、実体験に反映されにくくなっているのです。

CXは単なる「顧客接点の改善」ではなく、ブランド価値を体現する“舞台”であるべきなのに、多くのブランドがその演出に失敗しています。

顧客の“感情的なニーズ”を置き去りにした結果が、ブランドロイヤルティの低下や、顧客離れにつながっています。


ブランドを伸ばすCXとは?

Kantarが保有するデータによると、ブランド構築の最大75%が体験型接点から生まれているとのことがわかっています。

中でも「商品・サービスの使用体験」「口コミ」「店頭体験」「アプリ利用」などは、最も影響力のあるタッチポイントです。

そして、今の顧客が求めているのは、ただ便利であることではありません。
「このブランド、なんか違う」という印象を残せるかどうかが鍵なのです。

 


「信頼×差別化×一貫性」が“突破成長”を生む

KantarのBrandZデータによると、金融危機やコロナ禍などの経済不安期にこそ、ブランドの新陳代謝が激しくなり、実際にTop100ブランドに最も多くの新規参入が起きています。つまり、経済の混乱期こそ“突破的な成長”のチャンスなのです。

 




これらの“ブレイクスルーブランド”に共通するのは: 

  • 単に「便利」ではなく、他にはないCXを持っている
  • 顧客との信頼関係が強い
  • ブランドの「言っていること」と「やっていること」にズレがない


たとえば、あるサービスブランドでは、CXの“差別化”を意識することで解約率(チャーン率)を50%削減することに成功しています。
ただ機能的な体験を提供するだけでなく、「信頼され、意味があり、かつ他と違う体験」を提供することが大切です。


経験こそが知識の源

アルベルト・アインシュタインの言葉「知識の唯一の源は経験である」は、ブランド構築にも当てはまります。記憶に残る、独自性のある体験こそが、強いブランドを生み出す原動力です。ブランドの約束が消費者の選択に影響を与え、実際の体験がその期待を裏付けることで、ブランドは信頼を獲得し、次回の選択肢として自然に選ばれるようになります。




ブランドとCXを一致させるためのアクション

あなたのブランドが、次のブレイクスルーを起こすために必要なのは、「差別化された体験」だけではありません。
それ以上に重要なのが、「ブランドの約束」と「実際の体験」の整合性を取ること。

ブランドとCXのズレを埋めるには?

  1. ブランドが約束している価値観・ストーリーを明確化する
  2. 全CX(Web、アプリ、店舗、サポートなど)がその価値を体現しているか確認
  3. ブランド体験に一貫性と“違い”を持たせ、記憶に残す
  4. ブランドの「本質的な違い(Meaningful Difference)」を起点に、CXを設計する


まとめ: 

ブランド価値を上げたければ、まずCXを整ることが大切です。 

CXは「サービスの改善活動」ではありません。 
ブランドの世界観を、“お客様が実際に体感できる場”として成立させるための最重要要素です。 


言っていることと、やっていること。 
それが一致しているか? 
それだけで、顧客の心は動くのです。 

CXとブランドが「一体化」したとき、ブランドは真の信頼・差別化・成長を手にします。 
経済不安が続く今こそ、ブランドの約束とCXのズレを埋めるチャンスです。 





こうしたブランドとCXの統合の重要性は、日本市場においても注目されています。 


カンター・ジャパンが開催したウェビナー「意義のある差別化が選ばれる:MDXが導く顧客体験とブランド体験の進化」では、CXを単なる満足度向上の手段にとどめず、「意味のある差別化(Meaningful Difference)」として捉える視点が紹介されました。MDX(Meaningfully Different Experience)というフレームワークを通じて、顧客にとって意義深く、他ブランドと明確に異なる体験を提供することが、ブランドの選ばれる理由を強化する鍵であると説いています。

このウェビナーでは、CXの評価指標や実践的なKPI設定、アクションへの落とし込み方に加え、日本市場での活用可能性やグローバル事例も交えて解説されています。ブランド価値の向上や顧客ロイヤルティの強化を目指す方にとって、非常に示唆に富んだ内容です。ぜひ併せてご覧ください。

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