キャンペーンの内容について、従来手法の調査とAIテストの両方を行うことで、クリエイティブについての知見を飛躍的に高めることが出来ます。

広告は「数撃ちゃ当たる」のでしょうか?
今日の経済環境下では、マーケティング担当者は予算の逼迫に直面しながらも野心的な目標の達成を目指さすという厳しい立場に置かれています。ブランド・コミュニケーションの世界は年々規模を拡大しており、マーケティング担当者はキャンペーンを行うのにこれまでにないほど多くのクリエイティブを使うようになりました。それだけ多くのクリエイティブを制作しなければいけないのに、どうすればブランドへの投資効果を確実にすることができるでしょうか?KantarとWARCによる最近の調査では、優れた広告クリエイティブはそうでない広告の4倍の利益をもたらすことが証明されています。
マーケティクリエイティブを選択し、最終調整で磨き上げ、最適化を行うことで、最大限の効果が得られるように、常にクリエイティブ文化を習慣化することが大事です。そうすることで広告クリエイティブを、「たぶんこれでいい」という仮説の世界からデータ主導の意思決定の世界に変えることが出来ます。今日のように競争過剰な環境下では、個々のクリエイティブ内容のそれぞれがどの程度強いものかを知っておく必要があります。KantarのMedia Reactions調査によると、76%のマーケティング担当者は、キャンペーンにおける主要なクリエイティブの全てをテストするべきだと考えています。
しかしながら、考えることと実際の行動には乖離が起こるのが常で、42%のマーケティング担当者はほとんど、あるいは全くテストを行っていません。つまり、彼らにとって広告クリエイティブとは、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」ということなのかもしれません。もっとクリエイティブの質の評価を行うべきなのに、どんな障壁がマーケティング担当者をテストから遠ざけてしまっているのでしょうか?それは、コストの問題、上市まで時間がない問題、そしてテストには時間がかかるという問題があるからです。
クリエイティブ・テストの障壁

クリエイティブの質を定量的に把握することの重要性
ハイブリッドなアプローチをすれば、既存の予算の範囲内でより多くのクリエイティブをテストしなければいけないという障壁を克服することができます。一部の広告については実際の対象者で調査を行い、その他の広告についてはAIでテストするというハイブリッドアプローチなら、クリエイティブの品質を定量的に把握することをマーケティング担当者に可能にしてくれます。もしこれまでの調査予算で年間5つ程度の広告テストが実施できていた場合、同程度の予算でハイブリッドアプローチを活用することで、より多くのクリエイティブの質を理解できるようになり、より良いクリエイティブの選択と最適化を行うことが可能になります。ここでいうハイブリッドには、これまで実査ベースの調査で行われてきたAI的手法も含まれます。例えば、長年行ってきた微表情分析であり、最近始めている予測的アイトラッキングなどです。あるいは、実査ベースのデータを基にAIアルゴリズムを適用して、例えば市場範囲を拡大するようなことも含まれます。この種のハイブリッドな組み合わせは人気がありそうですが、当面で最も重要なことは、実際の調査とAIのテストを戦略的に組み合わせてブランドの機会を拡げていくことです。
カンターでは、LINK AIとLINK+を組み合わせることで、これまでと同程度の調査予算でより多くのクリエイティブをテストできる新しいサブスクリプションサービスを開始しています(※海外の場合。国内のサブスクリプションサービスについてはカンタージャパンまでお問い合わせください)。マーケティング担当者は、従来よりも1広告あたりの調査単価を抑えてより多くの広告がカバーでき、調査予算をさらに有効活用できるようになります。例えば従来の調査手法でテストした場合は、全クリエイティブの1%しかテストできないことになりますが、このハイブリッド型のサブスクリプションサービスを利用することで、全クリエイティブの57%までテストすることが可能になります。
テストできる規模、スピード、そして節約できるコストの違い

ハイブリッド化のメリット
従来の調査手法にAIを使ったテストを加えることで、多くのマーケティング担当者が直面する調査上の障壁に対処できるようになります。テストできる規模をより拡大し、コスト効率を良くし、そしてより早くテストすることが可能となります。
それではこのハイブリッドアプローチをマーケティング担当者はどう活用すればいいでしょうか? 第一に、ブランドのリポジショニングを行い、人々のブランドイメージを変えようとするような場合は、そのキャンペーンの主要な広告、広告コンセプトやヘッドラインについては従来の調査手法でテストすることをお勧めします。第二に、新しい、可能性の高い市場に進出するような場合も、その進出目的にクリエイティブが合致しているかを理解する必要があり、従来の調査手法が進出機会の最適化に役立ちます。この従来の調査手法にAIを使ったテストを組み合わせることで、キャンペーン効果の確認の規模を拡大することができます。例えば同一広告のバリエーション、すなわち出稿形態が異なる様々なデジタルチャネルの広告効果や、同じ広告であってもターゲット市場をより狭めた場合の効果もAIテストを使うことによって確認することができます。
ユニリーバは、LINK AIを活用して多くのデジタルクリエーティブをテストすることで、このベストプラクティスを実践しています。ユニリーバはこれまではデジタル動画クリエイティブのごく一部しかテストしていませんでしたが、LINK AI for Digital を採用して以降、デジタル予算の範囲内でよりスピーディで大規模なテストを実現できるようになり、デジタルキャンペーンを行う際に、情報で裏付けられた意思決定が行えるようになりました。
- 「LINK AI for Digital のおかげで、迅速な意思決定、ベストなクリエイティブの選択、動画編集のテスト、競合キャンペーンの測定までを、迅速かつ大規模に行うことができるようになった。」
- ユニリーバのグローバル・ブランド・エンゲージメント・リード ネハ・シャルマ氏
従来調査とAIを用いたテストの両方を組み合わせることで、両方の長所を生かすことができます。実際の対象者からの回答によってインサイトが得られ、AIのおかげで規模感とスピードが得られます。また、カンターでは両者間で共通言語が使えるメリットを提供しており、LINK AIにはLINK+の調査アプローチで既に確立されて検証もされている同じ測定項目が用いられています。従来調査とAIを用いたテストを、同じ場所で同じ指標を用いることで、両者間に好循環が生まれます。従来調査はこれまで通り有用なものであり、AIを用いたテストの精度を高めてくれます。一方、AIを用いたテストは従来調査の結果を「文脈」として読み込むことに役立ちます。
LINKのハイブリッドサブスクリプションにより、従来調査とAIの両方の世界の「いいとこどり」が簡単にできるようになりました。以下のデモボタンをクリックして、貴社のニーズに合わせたLINKサブスクリプションパッケージのカスタマイズの仕方をご覧ください。
原文:Combining survey and AI in creative testing to maximise effectiveness
翻訳監修:カンター・ジャパン 堀義弘、横須賀美緒