クリエイティブを「コントロールする」という考え方:
事前に「ふるいにかける」ことで、キャンペーン効果は大きくなる


キャンペーン効果を最大にするには、キャンペーンのあらゆる要素を慎重に選択し、単独メディアでも他のタッチポイントとの連動でも、広告がうまく機能するように最適化する必要があります。


マーケターや広告代理店でキャンペーンの制作に携わる人々は、キャンペーンとは全体としてつながりあった一つの作品であり、その広告アイデアとクリエイティブ要素が掲載されるメディアチャネルに合わせてカスタマイズされたものと考えがちです。しかし、実際の消費者体験は異なります。人々はキャンペーンの断片にバラバラに触れることしかなく、キャンペーンの中で最も効果の弱い広告が最も頻繁に露出してしまうことさえありえます。個々の広告の効果をキャンペーンの一部として把握できなければ、メディアチャネルの選択や最適化を誤ることになり、無駄な投資にもつながりかねません。


広告キャンペーンへの費用投下は、投資に対する具体的な見返りという点でギャンブルのようにさえ感じられることがあります。どこに、どのように広告費を投下するべきか? という選択肢が拡大し続けている今日では、キャンペーンやクリエイティブを適切に「コントロールする」という考え方が重要になってきています。


どのように「コントロール」したらいいのか?

カンターの広告クリエイティブの事前評価調査である「LINK」は、広告がオンエアされる前に、その改善ポイントを特定できることで知られています。実際、カンターの提案に沿って最適化された広告は、平均で38%効率が向上しています。しかしながら、すべての広告主がキャンペーン開始前にその内容を編集・修正する時間を充分に持っているとは限りません。

最近のカンターのLINKデータベースによる分析では、複数のオプションからベストな広告を選択するということだけで、広告予算に対し「コントロール」を行った効果がでることが検証されています。この分析により、単独のキャンペーン内における個別要素のすべてについて、クリエイティブ効果にはどれくらいの幅が出るものかを精査してみたところ、クリエイティブ効果には驚くほど幅があることが明らかになりました。広告代理店やマーケティング担当者がキャンペーン全体を評価するときに、個々の広告コンテンツ(広告構成要素)レベルについても、充分な情報に基づいて意思決定ができているでしょうか?



さらに個々のキャンペーンクリエーティブを単体でも理解することで、「コントロール」の効果が高まります。Kantar MarketplaceのLINKテストにクリエイティブをかけることで、個々の広告コンテンツ(広告構成要素)のキャンペーン全体に及ぼす効果を迅速かつ柔軟に判断でき、また広告をより良くする方法も明らかにできます。LINKは、デジタル広告からテレビ広告、プリント広告かクリエイティブ、すべての主要メディアをカバーし、クリエイティブの最適化とメディア選択の改善につなげることができます。

また、LINKは変化し続けるクライアントのニーズに応えるべく進化を続けています。例えば、屋外デジタル広告に関して最近アップグレードを行いましたが、これは高まりつつあった屋外デジタル広告の深堀インサイトへの要望、特に屋外デジタル広告への直感的な反応はどのようなものであり、注目度を上げるためには屋外デジタルクリエーティブのどんなところに可能があるかを知りたい、といった声に応えるものでした。



カンターでは、AIの学習能力とLINKのデータを活用して、一般的な消費者サンプルであればどのように広告を評価するかを予測するLINK AIも提供しています。LINK AIでは、調査回答者をリクルートする必要がないので、キャンペーンで用いられる個々の動画コンテンツのすべてを迅速かつコスト効率よくチェックすることができます。特に、デジタル動画コンテンツのテストを複数のプラットフォームや市場にまで広げるのに役立ちます。


LINKテストでクリエイティブを「ふるいにかける」

2つ以上の広告案の中から最適なものを選ぶことで、キャンペーンの短期的販売効果を高めるだけでなく、長期的にブランド力を高めていく効果もあることが、LINKデータベースの研究からわかりました。単一メディアだけで調査したキャンペーン効果では各効果測定指標が平均で12~17ポイントとなっていましたが、複数のメディアを用いたキャンペーン効果測定ではこれが2倍以上となり、平均で26~30ポイントでした。これはあくまでも平均値での話であり、個々のキャンペーンの実際の結果ではもっと差が開いているものがあるかもしれません。またキャンペーン効果のベストとワーストの広告コンテンツの違いを見ると、キャンペーン広告の中に広告賞が取れそうな優れた広告は必ずしも必要ではなさそうです。


この分析結果は経年的なもので、過去に調査したキャンペーンも含まれています。が、今後はこうした全てのキャンペーンで全ての広告コンテンツを調査することは考えていません。なぜなら、キャンペーンで用いられる広告コンテンツの数が増えれば、ベスト広告の時とワーストの時のパフォーマンスの差が拡大しやすいことが既に判っているからです。これはどの広告を選択すればいいかの情報が得られれば、キャンペーンのROIを改善する機会も増えるからです。


どのように役立てればいいのか?

どのようなキャンペーンでも、特に複数メディアを利用したキャンペーンでは、キャンペーン効果には幅があることが分かっており、キャンペーンに関する個々の要素すべてをよく理解することが重要です。個々のクリエイティブはそれぞれ異なった役割を果たすように設計され、同じキャンペーンの中でそれぞれがうまくかみ合っていくことが大事とされています。しかしキャンペーン効果について重要な知見を得ておくことは、広告クリエイティブの選択やメディア予算を配分する時の複雑なパズルを解くのに役立つ可能性があります。


キャンペーン効果に関する知識を持つことは、クリエイティブの最適化や適切な選択を可能にするだけでなく、メディア費用を計画する際にも「コントロール」が行えるようになります。キャンペーンのROIが向上し、キャンペーンで最も効果的な広告だけを多くの人に見てもらえるようになります。

カンターで新しく開発されたLINK Campaign Calculatorを使えば、クリエイティブに関したラーニングをメディアプランニングの意思決定に簡単に取り入れることができます。このCampaign CalculatorはLINKのクリエイティブ評価スコアと、LIFT(カンターのクロスメディア調査)の結果に基づいた、キャンペーンがどのようにブランドを構築するかについてのクロスメディアの知見を結びつけたものです。これを使えば、どの広告に最も投資すべきかがわかります。最近のアップグレードにより、より広範なデジタルメディアがカバーされて、メディア支出をより深く網羅できるようになり、より長期の予測もできるようになりました。



広告事前調査(LINK)の結果に基づき、広告クリエイティブを修正して最適化を図り、同時にキャンペーンにより適した広告クリエイティブを選定することにより、クリエイティブ面からキャンペーン効果を「コントロール」することが可能になります。詳細については、カンターにお問い合わせいただくか、Kantar Marketplaceのデモを体験してください。



原文:https://www.kantar.com/inspiration/agile-market-research/the-key-to-creative-control
翻訳監修:堀義弘


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