スポーツイベントの広告が観客の注目を集め、より多くの人々にブランドを惹きつけるためには、どのようにすればよいのでしょうか?
大規模なスポーツイベントは貴重なものです。人々が一体となり、ファンはお気に入りのチームやアスリートを見たり応援したりするために集まります。また、世界的な注目を集めることができるため、広告主にとっても強力なプラットフォームとなります。スポーツイベントはユニークなブランドを構築する絶好の機会であり、高揚したムードを利用して消費者とブランドに意義のあるつながりを築き、クリエイティビティを通じてより多くの人々を惹きつけるチャンスです。
2024年のオリンピックとUEFAサッカー欧州選手権が間近に迫る中、スポーツイベント広告に関するカンターの知見を基に、ファンに向けた広告を通じてブランドがスポーツイベントを最大限に活用するための5つのヒントをまとめました。
1. 目立つだけではなく最高のパフォーマンスを目指す
大きなスポーツイベントの放映は視聴率が高いので、広告主は視聴者の注意をより多く引くために競争するようになり、大きなスポーツイベントでの広告に向けられるクリエイティブな努力はエスカレートしています。主要なスポーツイベントで放映される広告は、いつもの広告よりも印象深いと視聴者にも受け取られています。
このようにイベントで放映される広告間の競争は激化しているのですが、ブランドの野心は必ずしも実現されるとは限りません。イベントでの広告はブランドを目立たさせていますが、それ程視聴者を楽しませてはいないようです。それに対し、スーパーボウルの広告は目立つだけではなく視聴者を楽しませるという点でも優れています。一方、オリンピックでの広告は楽しませるという点で、スーパーボウルでの広告やFIFAワールドカップでの広告を下回る「銅メダル」にとどまっています。「金メダル」のスーパーボウルの広告から、学ぶべき何かがあるかもしれません。
それでは、スーパーボウル広告の「金メダル」の秘訣とは何でしょうか?注目すべきは、スーパーボウル広告の76%がユーモアを活用していることです。ユーモアをうまく取り入れた広告は自然と個性が際立ち、情緒的に共感させるので、楽しめるだけでなく、説得力やブランディングにもつながることがわかっています。Booking.comの今年のスーパーボウルキャンペーン「Tina Fey Books Whoever」は、その好例です。この広告はLINK AIが事前に予測したように、有名人とユーモアの調和のおかげで、今年最も成功した広告の一つとなりました。
2. イベントが持つポジティブな感情に合わせる
負けたときの悔しさ、勝ったときの盛り上がり、ジェットコースターのような臨場感。このようなイベントのために作成された広告も当然、感情的な反応を呼び起こそうとします。カンターの分析によると、スポーツイベント中に放映される広告は、視聴者のポジティブな感情とネガティブな感情の両面において、平均よりも高い評価を得ることが出来ています。それでは、ブランドが目指すべき感情のトーンとは、どうあるべきでしょうか?
スポーツの種類によって、広告が訴求すべき情緒的なトーンは異なります。例えば、サッカーのトーンは非常にテンションが高く、時には攻撃的にさえなりますが、一方でオリンピック競技には多種多様なカテゴリーがあり、それぞれにふさわしいトーンは異なります。とはいえ、スポーツイベントの共通点は、「楽しさ」と「祝福」であり、こうしたポジティブな感情を伝える広告が成功しやすいことがわかっています。イベントが本質的に持つポジティブな感情をよく理解し、そのトーンに合わせた広告を作るべきです。ITVのラグビーワールドカップのティーザー広告は、どちらが勝つか知りたいというファンのいてもたってもいられない興奮を広告の中心に据えることで、これを見事に実現しています。
3. ブランドとイベントをつなぐ架け橋を考える
スポーツイベントと「つながり」があるブランド広告を作るのはかなり難しい作業となります。何故なら、ブランドの広告とイベントの広告の間には微妙な境界線があり、多くの広告ではブランドがイベントの影に隠れてしまうからです。もしブランドがイベントのスポンサーであれば、ブランドを主人公にしつつ、かつイベントも際立たせるというバランスを両立させるためにさらに難易度が上がります。
ルイ・ヴィトンは、今年のオリンピックとパラリンピックのメダルのために、特注の専用ボックスをデザインしました。この作品を紹介する広告は、ルイ・ヴィトンの由緒とアスリートたちが競技のために懸命に準備する姿を結びつけ、ブランドと競技の双方を輝かせることに成功しています。
4. インクルーシブであり、ステレオタイプを打ち破る
性別に特化したようなメッセージがまだ広告で見られることがありますが、これまで広告に登場してきたようなステレオタイプな人々よりも視聴者はより多様であることを認めるべきだと思います。カンターでは、Unstereotype Allianceと共同開発したGender Unstereotype Metric (GUM) を用いて、広告に登場する人々の多様性を広告主がポジティブに表現できるように支援しています。
主要なスポーツイベントの広告の平均GUMスコアを見ると、オリンピックの広告は女性をステレオタイプに描いていないのに対し、スーパーボウルやサッカーワールドカップの広告は女性の描き方がステレオタイプという点で、データベースの下位50%に入っています。ハイネケンの「Cheers to All Fans」は、スポーツにまつわるステレオタイプからの脱却にブランドが取り組んだ素晴らしい例です。この広告では、人々がサッカーファンを想像するときに思い浮かべるイメージを問題視し、サッカーのファンであることは性別に関係ないことを思い出させるものです。
5. ブランドを成長させるチャンスを逃さない
スポーツイベントは、情緒的な雰囲気の一体感と巨大なリーチをもたらすため、ブランドを成長させるのに絶好の機会となります。ブランドの意義ある差別性を強化し、より多くの人々にブランドを魅力的に感じさせるのに、イベントは貴重な基盤を提供してくれます。しかしながらカンターのデータを見ると、広告主はブランドをより成長させるために、こうしたイベントの影響力をもっと認識したほうがよさそうです。カンターの広告テスト・データベースで比較すると、スポーツイベント向けの広告がブランドの差別性に貢献する効果はデータベースの上位50%に入っていますが、長期的なブランド効果を発揮させるためには、そのブランドの差別性が視聴者にとっても意義があるように、広告で印象づける必要があります。カンターのデータベースによると、オリンピック広告はブランドの意義性を強化するという点ではかなり弱く、FIFAワールドカップ広告もデータベースの平均を下回っています。
視聴者に意義のあるブランドと感じてもらうためには、ブランドが施行者にとって重要なニーズを充たすことを示す必要があります。ここでいうニーズとは、感情的なもの、機能的なもの、社会的なものなど、ブランドが消費者の生活に影響を与えることができることを指します。スポーツイベントは、マーケティング担当者が見逃すことができない大きなブランド成長機会ですから、ブランドとイベントとの関連性だけでなく、それを通じてブランドが消費者に何を提供するのかを具体的に伝えるようにしましょう。
まとめ:スポーツイベント広告を用いて、広告主も競争に勝利する
大規模なスポーツイベントは、広告を通じてブランドが巨大な聴衆とつながることを可能にしてくれます。数十億人が注目するオリンピックやUEFA欧州サッカー選手権が目前に迫っています。特にオリンピックの広告では、上述したようにイベントを活用することで得られる大きなチャンスがブランドによってまだまだ十分には活用されていません。貴社のブランドの広告が、このチャンスを最大限に活用し、より多くの人を惹きつけることで、ブランドの「意義ある差別性」に貢献できるようになります。そのためには俊敏な手法(アジャイルソリューション)を駆使した広告テストが「勝利への道」となります。
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