LINKの新しいフレキシブルなデジタルクリエイティブの評価機能によって、マーケターはコンテクストを超えたデジタル広告の成果を確証できます。
常にダイナミックに変化する今日のメディア環境において、ブランドはクリエイティブコンテンツをさまざまなコンテクストに合わせて調整することが求められます。ここでいう調整とは、デジタルプラットフォームごとの消費者行動、レイアウトの違い、それぞれのプラットフォームの「文化」を認識し、複数のコンテクストについてのラーニングを構築することを意味します。各プラットフォームで成功へのステップが異なるように、すべてのクリエイティブが同じ目的のためにつくられるわけではありません。そのため、多くの広告がスキップされたり、スワイプされたりするようになった今、マーケターの課題は、クリエイティブがブランド目標を確実に達成し、しかも消費者に気づかれずにコンテクスト全体でそれを実現できるようにすることです。したがって、マーケターがこの課題を打開するのに役立つインサイトを提供するために、インコンテクストの広告調査はスピードを犠牲にすることなく柔軟であることが求められます。
マーケターが陥りやすい最初の落とし穴はTVクリエイティブを再利用することであり、成功したTV広告がデジタルチャネルでも成功すると信じてしまうことです。マーケターはこの問題について気づいてきていますが、カンターの広告調査LINKのデータベースによると、再利用されたテレビ広告の比率は2018年から2020年の間の21%から2021年以降は13%に減少しています。当社のデータでは、テレビ広告をデジタルメディア向けの広告としてテストすると、かなり異なるパフォーマンスを示します。カンターのLINKのデータベースから世界中でレビューされた広告を分析したところ、テレビからデジタルへの移行が保証されているとは言い難いことが明らかになりました。テレビでうまくいった広告が、デジタルのコンテクストでうまくいく確率は3分の2に過ぎません。
テレビからデジタル・プラットフォームへの広告の移行
もうひとつの誤りは、すべてのSNS上でのマーケティングが同じであると思い込むこと ― つまり、ブランドは消費者の関心を引くために他の広告コンテンツと競争しているだけでなく、消費者のSNS上のコンテンツとも競争していることです。地下鉄でInstagramをスクロールしている時と、お気に入りのセーターのシミを取るためにYouTubeでハウツー動画を検索している時では、人の関心や感じ方は異なります。Facebookでみんなを笑わせることができる30秒のコミカルな広告が、風刺的でユーモアが凝縮された短い動画に囲まれるTikTok上では容易に楽しませられないかもしれません。 この例のように、同じ広告をInstagramとTikTokで比較した場合、広告テストのパフォーマンスの違いが見られます。TikTokのトレンドのキューとなるテキストを追加するなど、TikTokの環境に合うように若干カスタマイズしたところ、この広告はTikTokで成功しました。しかし、Instagramでも同様のプラットフォーム特有の工夫をしなければ、結果はまったく異なるものになります。
ケーススタディ:Instagram広告とTikTok向けに微修正した広告のパフォーマンスの違い(米国のオンラインサービスブランド)
デジタル広告の効果:「if」ではなく「how」の問題
デジタルコンテンツの重要性は高まり続けており、カンターCrossMediaのデータベースの分析によると、デジタルキャンペーンによる全体的なリーチとブランドKPIへの貢献が増しています。また、マーケターも、デジタルメディア、特にオンラインビデオ、ソーシャルメディア広告やストーリーへの支出を増やし続けています。GroupMの2023年中期グローバル予測によると、デジタルのピュアプレイ広告収入は2023年には全体の69%を占め、2028年には広告収入全体の74%に達します。一方で広告主もデジタルチャネルの有効性について意見が一致していますが、どの程度のものなのかは疑問が残ります。支出が増加しているにもかかわらず、長期的に投資の成果を得ることを目的としたデジタル戦略を計画している人がどれだけいるでしょうか。誰もがデジタル広告をブランド構築のために利用しているわけではないため、多くのブランドにとって機会損失が依然としてあるようです。デジタル広告への予算配分が拡大し、デジタルキャンペーンがブランド・エクイティに貢献するという知見が広まるにつれ、質の高いクリエイティブを確保することの重要性はさらに高まっています。
今年のカンター・クリエイティブ・エフェクティブネス・アワードのデジタル部門受賞作品は、デジタル広告がいかにさまざまな目的に向かって機能し、最終的にブランドの成長に貢献できるかを示しています。デジタル部門で1位を獲得したキャドバリー・デイリーミルクチョコの「Garage」は、感情的な物語を盛り込んだ純粋なブランド広告で、製品スペックの情報はありません。もう1つのデジタル部門受賞作「Riding is Still Driving」は、ハイネケンから登場したノンアルコールのブランドである「ハイネケン0.0」を宣伝すると同時に、ユーモアを通じてブランドパーパスも伝えています。
クリエイティブテストは、特に初期の広告開発段階において、クリエイティブの成功を保証する最も効果的な方法です。LINKの新しいフレキシブルなデジタルテスト機能により、マーケターは、キャンペーンのニーズに合った測定方法で、デジタル広告がコンテクストを超えて成果を出せることを確証できるようになりました。LINKは、デジタル環境において広告がインパクトと売上を生み出す能力を正確に予測できることが実証されています。また、クリエイティブの質が高いデジタルアセットは、クリエイティブの質が低いものに比べ、最大2.5倍の売上を生み出すことが証明されています。
LINK+デジタル・ビデオ・インパクト検証
デジタル広告を評価するための私たちのアプローチは、コンテクストに合わせた様々なアプローチを用いて効果を予測・診断します。私たちは、広告が実際のデジタル環境でどのように反応されるかを反映するために、実際の環境を再現するツールを使用して、コンテンツがコンテクストによってどのように異なる働きをするかを検討します。このライブ・コンテクストによって行動データを取得し、コンテクストごとのベンチマークに照らした上で評価します。また、調査の回答結果、行動、微表情分析の指標を組み合わせることで、次のステップに関する明確な指針を示すことができます。
新しいデジタルクリエイティブテスト機能は、カンターの20年以上のデジタル広告調査の知見に柔軟性、俊敏性、スピードをもたらします。また、FacebookやInstagramのストーリーズや、スキップできないYouTubeのプレロール広告も加わり、これまで以上にデジタルのコンテクストが充実されます。
広告がメディアごとに合わせたカスタマイズが必要なように、LINKでは調査にて聴取する項目も広告要件に合わせて調整することが可能となっています。調査から得たインサイトは、革新的なLINKダッシュボードから実査終了後、最短6時間で入手でき、デジタル、テレビ、ストーリーボードのテスト結果を表示、比較することもできます。LINK+ on Kantar Marketplaceがデジタル広告の効果をどのように高められるか詳細をお知りになりたい方は、下記よりお問い合わせください。
原文:https://www.kantar.com/inspiration/agile-market-research/powerful-digital-ads-need-powerful-digital-testing