ブランド成長を阻む壁を見極める
ブランドを成長させるためには、まず何が成長の妨げになっているのかを正しく見極めることが重要です。多くの企業が成長を目指していますが、抱えている課題はブランドごとに異なります。だからこそ、最初に取り組むべきことも一律ではありません。
Kantarでは、ブランド成長を妨げる要因を整理し、それぞれに応じた優先課題を「チーフ・マーケティング・オブジェクティブ」として定義しています。ここでは、企業が直面しやすい代表的な2つの課題と、その乗り越え方を紹介します。

課題1:価格に見合う価値が伝わっていない
良い商品やサービスであっても、「価格ほどの価値はない」、「割に合わない」と感じられてしまうと、成長は難しくなります。こうした状況は、長年にわたって値引きや販促に頼り続けた結果として生まれることが少なくありません。消費者が価格ではなく価値で選ぶ理由を見失ってしまうためです。
このような場合に重要なのは、「なぜその価格なのか」を納得してもらうことです。そのためには、価格を見直すだけでなく、ブランドならではの魅力や強みを改めて伝え、価値を実感してもらう必要があります。

Volvicの事例
ベルギー市場においてVolvicは、商品の良さや価格に見合う価値が、消費者に十分伝わっていないという課題がありました。そこでVolvicは、火山が育んだ天然水という独自の背景に焦点を当て、オンライン広告などを通じて、その背景にある自然の恵みや品質へのこだわりを発信しました。その結果、消費者からの評価が高まり、価格に見合うブランドとしての認識も強まりました。これにより、今後の成長につながる基盤を築くことができたのです。

Van Cleef & Arpelsの事例
高級ブランドであっても、「なぜその価格なのか」を伝え続ける必要があります。Van Cleef & Arpelsは、アメリカ市場において、職人技やブランドの歴史、そしてパリ発祥の世界観をより丁寧に伝える取り組みを行いました。そのストーリーをPRや店舗体験、デジタルコンテンツなどさまざまな接点で一貫して発信した結果、消費者とのつながりが深まり、ブランド価値への理解も高まりました。

課題2:成長が頭打ちになっている
市場で一定の地位を築いていても、その先の成長が止まってしまうブランドは少なくありません。シェアは維持しているものの、新しい顧客を取り込めず、成長の勢いが弱まっている状態です。
こうした状況を変えるには、ブランドの魅力をあらためて見直し、より多くの人にわかりやすく伝える必要があります。これまで利用したことのない人にも興味を持ってもらえれば、新しい顧客が増え、ブランドが再び成長する可能性が高まります。

T-Mobileの事例
アメリカの通信会社T-Mobileは、Sprintとの統合を機にブランドの位置づけを見直しました。これまでの「価格の安さが強みの通信会社」から、「5G時代をリードするブランド」へとイメージ転換を図ったのです。その象徴となったのが、大規模な広告キャンペーンやブランド表現の刷新でした。結果として、T-Mobileはより現代的で信頼できるブランドとして認識されるようになり、消費者との関係を強化することに成功しました。

adidasの事例
adidasも近年、ブランドへの投資を強化することで成長の勢いを取り戻しています。同社はスポーツの力やコミュニティとのつながりを改めて重視しながら、音楽やカルチャーとの接点も広げています。イギリスのロックバンドOasisやラテン音楽の世界的スターBad Bunnyとのコラボレーションはその代表例です。こうした活動を通じて、adidasは現代の消費者とのつながりを深め、ブランドとしての存在感を高めています。

成長の第一歩は、ブランドの課題を知ること
これらの事例が示しているのは、ブランド成長の出発点は「今、自社の成長を妨げているものは何か」を正しく理解することだという点です。価格に見合う価値が伝わっていないのか。成長の勢いが弱まっているのか。あるいは別の課題があるのか。原因によって取るべき戦略は大きく変わります。
また、変革を進める際には注意も必要です。ブランドを新しくしようとして、これまで築いてきた個性まで失ってしまうと、かえって魅力が薄れてしまうことがあります。重要なのは、ブランドらしさを守りながら進化することです。
ブランドの成長は、正しい診断から始まります。まずはブランドの課題を見極め、その課題に合った戦略を選ぶことが、持続的な成長への近道となります。世界で成長を続けるブランドが何を実践しているのか。そのヒントは、Kantar BrandZ 2026に見ることができます。
最初の一歩は、現状を正しく把握すること
ブランドの成長を妨げている要因が見えてくれば、取るべき戦略も明確になります。しかし、多くの企業では、自社の課題を客観的に特定することが容易ではありません。Kantarでは、ブランドの成長機会や課題を診断し、優先的に取り組むべきテーマの特定から戦略立案までをご支援しています。「ブランドの成長が鈍化している理由を知りたい」「価格競争から脱却したい」「次の成長ドライバーを見つけたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※本記事はKantar Globalが公開した記事をもとに日本語訳・編集したものです。
原文(英語)はこちら:Breaking down brand growth barriers: How to identify the right marketing objective
【本件に関するお問い合わせ先】
- カンター・ジャパン マーケティングチーム
Email: marketingjapan@kantar.com