中国ブランドは「安いから買う」から「理由があって選ぶ」へ
中国ブランドに対する見方は、ここ数年で大きく変わりつつあります。かつては「価格が安い」「大量に作れる」という印象で語られることが多かった中国ブランドですが、今では、品質、機能、デザイン、使いやすさなどを理由に、世界の生活者から選ばれる存在になっています。
たとえば、TikTok、Xiaomi、Haier、BYD、DJI、Trip.com、EcoFlow。これらのブランドは、単に海外へ製品やサービスを広げているだけではありません。人々の情報の見方、買い物の仕方、移動の仕方、家での過ごし方そのものに影響を与えています。
Kantarの最新レポート『BrandZ Chinese Global Brand Builders』では、11の国・地域と15のカテゴリーを対象に、中国ブランドが海外市場でどのように受け止められているかを分析しています。 2026年の「Top 50 Chinese Global Brands」では、ブランドの強さを示す評価が前年比7%向上しました。これは、中国ブランドが単に知られるだけでなく、購入時の候補として思い出され、実際に選ばれる存在になりつつあることを示しています。

こうした動きは⼀時的なブームではありません。10年間のデータからも、中国ブランドが海外市場で着実にブランド⼒を⾼めていることが分かります。
⽣活者は「安いもの」ではなく「納得して選べるもの」を探している
中国ブランドの成⻑を後押ししている背景には、⽣活者の価値観の変化があります。物価上昇や将来不安が続くなかで、⽣活者は⽀出に慎重になっています。ただし、安さだけで選んでいるわけではありません。性能がよいこと、⻑く使えること、使ったときに満⾜できることなど、「払う⾦額に⾒合う価値」があるかをより重視するようになっています。
また、ブランドとの出会い⽅も変わっています。検索、⽐較サイト、SNS に加えて、AI アシスタントが商品やサービスを⾒つける⼊⼝になりつつあります。これからのブランドには、⼈に分かりやすいだけでなく、AI にも正しく理解される、明確で⼀貫した情報発信が求められます。
どの分野で中国ブランドは強くなっているのか
デジタル機器と家電は、中国ブランドの強みが分かりやすく表れている分野です。Xiaomi、Haier、TCL などは、価格だけでなく、機能性、デザイン、使いやすさ、現地ニーズへの対応によって⽀持を広げています。⾃動⾞でも変化が起きています。電気⾃動⾞の広がりによって、従来のエンジン⾞で築かれてきた競争優位が⾒直され、新しいブランドが選ばれる余地が⽣まれました。中国の⾃動⾞メーカーはこの変化を捉え、欧州、⽇本、⽶国のブランドが強かった市場でも、購⼊候補として存在感を⾼めています。⼀⽅で、海外で選ばれ続けるには、製品を輸出するだけでは不⼗分です。各市場の⽣活者が何を⼤切にしているのかを理解し、商品、サービス、コミュニケーションを現地に合わせていく必要があります。
デジタルサービスでも、中国ブランドは新しい⾏動を⽣み出しています。TikTok に代表されるように、情報の⾒つけ⽅、動画の楽しみ⽅、商品との出会い⽅を変え、既存カテゴリーの枠を超えた成⻑を実現しています。
⼀度買ってもらうだけでなく、選ばれ続けるには
中国ブランドは、認知を広げ、最初の購⼊につなげる⼒を⾼めてきました。ただし、ブランドとして本当に重要なのはその先です。⼀度試してもらうだけでなく、もう⼀度選ばれること、他の⼈に薦められること、価格以外の理由で選ばれることが必要になります。そのために⼤切なのは、「なぜこのブランドを選ぶのか」が⽣活者に伝わっていることです。Kantar では、ブランドが成⻑する⼒を「意義性」「差別性」「想起性」という3 つの視点で捉えています。分かりやすく⾔えば、⽣活者にとって役に⽴つか、ほかと違う理由があるか、買う場⾯で思い出してもらえるか、ということです。
1. 新しい「選ぶ理由」をつくる
AI や技術の進化により、⼀定⽔準の商品やサービスをつくることは以前より容易になっています。その分、機能だけで差別化することは難しくなりました。これからは、⽣活者にとって何が便利で、何がうれしく、何が記憶に残るのかを捉え、新しい選択理由をつくることが重要です。
2. 市場ごとの⽣活者を深く理解する
海外市場に⼊ることと、その市場で受け⼊れられることは同じではありません。翻訳や広告表現を変えるだけでなく、商品、サービス、購⼊体験、サポート、信頼の築き⽅まで、地域の価値観や⾏動に合わせて設計する必要があります。
3. データとAI を、実際の判断につなげる
多くの企業にとって課題は、データが⾜りないことではなく、データを次の打ち⼿に結びつけることです。⽣活者、市場、カルチャーの変化を捉え、どのブランド資産を伸ばすべきか、どの接点を改善すべきかを判断することが、持続的な成⻑につながります。
⾃社ブランドは、どの理由で選ばれているのか
現在の「Made in China」は、もはや価格競争⼒だけを意味しません。優れたデザイン、先進的な技術、新しい使い⽅を⽣み出す発想も、中国ブランドの強みになっています。この変化は、中国ブランドだけの話ではありません。どの企業にとっても、「⾃社ブランドはなぜ選ばれているのか」「競合ではなく⾃社を選ぶ理由は何か」を⾒直すきっかけになります。
Kantar では、⽣活者データをもとに、ブランドがどの程度思い出され、どのような理由で選ばれ、どこに成⻑余地があるのかを可視化します。⾃社ブランドの現在地を知りたい、海外市場での競争⼒を確認したい、次に強化すべき打ち⼿を整理したいという⽅は、ぜひお問い合わせください。
※本記事はKantar Global が公開した記事をもとに⽇本語訳・編集したものです。
原⽂(英語)はこちら︓Made in China: how Chinese brands are redefining global growth
【本件に関するお問い合わせ先】
– ディレクター、ヘッドオブグロース&マーケティング ⼩川朋⼦
– E-mail︓marketingjapan@kantar.com