シグナルは多いのに、なぜ意思決定は難しくなるのか
企業が活用できる顧客データは、かつてないほど増えています。しかし、情報が多ければ、より良い判断ができるとは限りません。重要なのは、すべての数字を追うことではなく、事業の変化を早く捉え、次の行動につながる情報を見極めることです。 そのためには、顧客が「何をしたか」だけでなく、「どう感じているか」「何を語っているか」まで、一つの流れとして理解する必要があります。
消費者理解に必要な3つの手がかり:行動、態度、発言
顧客の変化を捉える手がかりは、大きく3つに分けられます。 1つ目は、購入、来店、サービスの利用など、実際の行動です。2つ目は、企業やブランドに対する印象、期待、信頼など、顧客の意識です。3つ目は、検索、SNSへの投稿、レビュー、口コミなど、顧客が外に表す言葉です。 これらを別々に見るだけでは、変化の全体像はつかめません。何を買ったのか、なぜ選んだのか、選んだ後に何を語ったのかをつなげて見ることで、数字の背景にある理由が見えてきます。AIによる検索や推奨が広がる現在は、顧客の声がオンライン上でどのように扱われるかも重要です。
売上が動く前に、消費者の気持ちは動いている
事業の成長や停滞の兆しは、売上に表れる前に、顧客の評価や意識に現れることがあります。Kantarの「フューチャーパワー」は、売上実績を使わず、顧客の意識からブランドの将来性を捉える指標です。この指標が高いブランドは、低いブランドに比べ、金額ベースの市場シェアを伸ばす可能性が4倍高いことが分かっています。
広告の効果も同じです。Kantarの広告評価サービス「LINK+」では、通常のブランド調査より早く、ブランドに対する評価の変化を捉えられる場合があります。良い広告は、まず顧客の見方を変え、その後の購入につながります。 売上だけを見ていると、こうした早い段階の変化を見逃しかねません。将来の成長を考えるうえでは、現在の業績に加え、顧客の意識がどちらに向かっているかを継続して確認することが重要です。
買われ、語られ、好かれるブランドは強い
ブランドが成長するとき、顧客の行動、意識、発言は同じ方向に動き始めます。Octopus Energyは、他社との違いが伝わる顧客体験と、好意的な口コミが相互に作用し、英国最大の電力会社へ成長しました。
Kantarの分析では、ブランドに対する顧客の評価や信頼が、新たな売上の最大35%を生み出す可能性が示されています。一方、ブランドへの投資を減らすと、その影響は長期的に売上へ及びます。Adidasでも、短期の販売促進を重視していた時期に、実際にはブランドを育てる活動が売上成長に大きく貢献していたことが分かりました。
目先の販売効率は重要です。しかし、それだけでは持続的な成長はつくれません。短期の成果と、将来も選ばれるための投資を、経営として両立させる必要があります。
変化の理由は、消費者の声に表れる
売上や評価の変化を確認するだけでは、「なぜ変わったのか」までは分からないことがあります。その理由を知る手がかりとなるのが、検索、投稿、レビュー、口コミなどの顧客の声です。 ある食品ブランドでは、調査によって信頼度の低下が確認されました。SNSなどの声を調べたところ、原材料の変更に対する不満が急増していることが分かりました。顧客の評価が異変を知らせ、顧客の言葉がその原因を明らかにした例です。
この視点は、新商品にも当てはまります。市場に投入された新商品の3分の2は、2年以内に勢いを失うと言われています。商品自体に問題があるとは限りません。発売前に期待されていたこと、発売直後の購入状況、利用後の感想、ブランド全体への評価を十分につなげて見ていないことが、判断を難しくしている場合もあります。発売前は検索や口コミからまだ満たされていない需要を探り、発売後は購入状況と顧客の声を確認します。さらに、ブランドへの評価が時間とともにどう変わるかを見ることで、一時的な話題なのか、長期的な成長につながるのかを判断しやすくなります。
データ過多の時代に、ブランドが本当に見るべきもの
重要なのは、多くのデータを追うことではなく、意思決定に必要なシグナルを見極めることです。Kantarのホワイトペーパー『Three Signals』では、シグナルを意思決定に活かすための考え方を詳しく解説しています。「データはあるが、次の打ち手が見えない」「売上が変化した理由を十分に説明できない」といった課題をお持ちではありませんか。Kantarが、消費者の行動・態度・発言をつなぎ、次の成長機会を見極めるためのアプローチをご提案します。お問い合わせページから、ぜひご相談ください。
※本記事はKantar Globalが公開した記事をもとに日本語訳・編集したものです。
原文(英語)はこちら:Three signals, one decision. Behaviours, attitudes and expressions.
【本件に関するお問い合わせ先】
– ディレクター、ヘッドオブグロース&マーケティング 小川朋子
– E-mail:marketingjapan@kantar.com