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Phase 1
ブランドは経営課題になった!?
CMOだけでは完結しない時代へ
監 修
瀬戸口 修
氏
瀬戸口&アソシエーツ 代表
変化のスピードが加速する中で、ブランドの役割も大きく変わり始めています。かつては“伝えるため”のものだったブランドは、今や企業の意思決定や成長戦略そのものに関わる存在になりつつあります。本連載では、CEO、CMO、マーケティング担当者の対話を通じて、ブランディングが経営の中でどのような意味を持ち始めているのか、そして変化する時代の中で、その役割をどのように捉えていけばよいのかを、登場人物たちとともに考えていきます。
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CMO
企業価値や投資判断を意識しながら、ブランドを経営資産として捉え、経営と市場をつなげて考えている存在。経営全体の視点からマーケティングをとらえている。
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CEO
市場や社会の変化に違和感を抱きながら、経営全体を俯瞰し、意思決定を担う。変化をどう理解し、経営に取り込んでいくべきかを常に模索している。
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マーケティング担当
生活者の日々の変化を現場感覚で捉え、経営と市場のあいだにある距離感や違和感を、実感でとらえていく担当者。
Scene 01
ブランドの議論が、なぜ経営会議に入ってきたのか?
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最近、ブランドについて話す場面が随分増えた。以前は、どちらかと言えばマーケティングや広告の話として取り上げていたが、今では経営会議でも重要な課題のひとつとしてブランドが当たり前のように上がる。
正直に言うと少し前までは、ブランドがここまで経営の中心に近いテーマになるとは思っていなかった。 -
しかも最近は、「どう見せるか」より、「どう経営と結びつけるか」に近い話になっていませんか。
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実際、投資家との対話でも、ブランディングについて聞かれる場面は増えています。
以前のように“広告活動”としてではなく、企業価値や無形資産の文脈で見られている感覚がありますね。 -
確かに。
以前はブランドと言うと、“どう見せるか”という話が多かったと思う。
だが最近は “会社として何を信じて、どこへ向かうのか”——そんな議論に変わってきている。 -
まさにそこです。
以前は「企業としての意思を伝えるため」のものだったのが、今は「社会や市場が選ぶため」のものに変わってきています。 -
市場の選び方も、人材採用も、投資判断も、全部つながってきていますからね。
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なるほど……
ブランディングは、“マーケティング施策”というより、経営そのものに近づいてきている、と。
ブランディングは、企業が社会の中で“どう存在するか”を示す軸へ
- ブランドは、広告や認知ではなく、企業価値を支える無形資産として捉えられ始めている
- 社会や市場からは、機能や価格だけではなく、「どのような社会的価値を持つ企業か」が問われるようになっている
- 生活者もまた、単なる商品比較ではなく、「共感できるか」を基準にブランドを選ぶ場面が増えている
Scene 02
「インサイト」では追いつかなくなっている?
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われわれも、これまでデータやインサイトは相応に活用してきたつもりだ。
市場調査も続けてきたし、生活者理解の重要性も繰り返し言ってきた。
……ただ、最近は、それだけでは判断が追いつかなくなってきている。
手に入る情報は以前よりはるかに増えているのに、むしろ決めにくい。 -
わかります。
たぶん今起きているのって、“情報不足”ではないんですよね。
むしろ、情報が増えすぎている。 -
数字もデータも増えています。
でも、“どう判断するか”は逆に難しくなっている感じがあります。 -
以前より、「何を信じるべきか」が曖昧になってきている気がする。
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だから最近は、「Insight」より、「Intelligence」という考え方が重要になってきているんだと思います。
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Insightとは違う?
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Insightは、“理解する”ためのものだったと思うんです。
でも今は、理解するだけでは足りない。
何が起きているのかを捉えて、
何を優先するのかを決めて、
その判断をどう成長につなげるのか。
そこまで含めて、意思決定を支える必要が出てきています。 -
つまり、“分析”というより、“経営を動かすための整理”に近づいているんですね。
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そうですね。
だから今、求められているのは情報そのものではなく、
意思決定につながる“Intelligence”なんだと思います。
Intelligenceは、“理解”ではなく、意思決定と成長をつなぐものへ
- 市場や生活者に起きている変化を捉え、意味あるシグナルとして整理する(Signal)
- その変化をもとに、何を優先し、どう判断するかを導く(Decision)
- さらに、その判断を中長期の成長戦略へと接続していく(Strategy)
Scene 03
ブランディングは、誰の仕事なのか
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ブランディングが意思決定にそこまで関わるようになると、部門や責任者が受け持つ範囲も変わってくる。
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かなり変わってきていると思います。
以前は、ブランドってマーケティングやコミュニケーション部門のテーマとして見られていました。
でも今は、それらだけでは完結しなくなっています。 -
実際、投資家に説明する時も、“ブランド投資”をどう企業価値につなげるかは避けて通れなくなっています。
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経営戦略の話をしていても、自然とブランドの話につながっていくことが増えた。
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はい。
例えばCEOは、「会社としてどこへ向かうのか」を示す必要がありますし、
CMOは、ブランディングが企業価値にどのようにつながるのかという視点を提示しています。 -
CHROも重要ですよね。
社員がどんな価値観で判断するのかにも関わってきます。
それに、ブランド投資をどう評価するかという視点では、CFOも重要な役割を担います。 -
なるほど……
ブランドが、“表現”ではなく“経営全体をつなぐもの”に近づいている。 -
だからブランディングは今、CMOだけが担うものというより、
複数のC-Suite(Cレベル エグゼクティブ)が関わりながら形づくっていくテーマになってきているんだと思います。
ブランドは、特定部門ではなく、Cクラス全体で向き合うテーマへ
- CEOは、ブランドで企業としてどこへ向かい、何を軸に成長していくのかという方向性を示す
- CMOは、ブランドが企業価値にどうつながるのかを評価し、説明責任を担う
- CHROは、社員一人ひとりの行動や価値観として、ブランドを組織の中に浸透させていく
- CFOはブランドへの投資をどのように評価するかという視点を提供する
Scene 04
ブランディングは、“全社員の行動”に宿るものに変わった?
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ただ、経営の話になってくると、現場との距離が気になるな。
理念やブランドの話をしても、“上の話”に見えてしまう懸念はないか。 -
そこも、最近かなり変わってきている部分だと思います。
以前は、ブランドって「伝えるもの」だったんですよね。 -
広告やメッセージとして外に発信するもの、という感覚ですね。
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でも今は、むしろ“どう実践するか”に近づいています。
SNSもありますし、企業の価値観って、日々の判断や市場への対応、社員の言動の中にそのまま出てしまう。 -
広告だけではブランドをコントロールできなくなっているということか。
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はい。
だから最近は、人事部門や財務部門も含めて、ブランドを社内でどう共有するかがすごく重要になっています。 -
社員一人ひとりが、ブランドを体現する側に変わってきているわけです。
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しかもそれって、単なる精神論ではありません。
現場の判断そのものが、お客様体験や企業の印象を左右するようになっている。
つまり、社員一人ひとりが“意思決定者であり、パーパスを体現する存在”になっているんですよね。 -
ブランドが、“広告表現”から“組織の行動表現”に変わってきている。
ブランドは、“語るもの”から“日々の行動に表れるもの”へ
- 社員一人ひとりが、日々の業務や判断を通じて、企業のパーパスや価値観を体現するようになっている
- その積み重ねが、ブランド体験そのものとして社会や生活者に伝わっていく
- これは単なる精神論ではなく、現場の判断が企業価値に直結する時代への構造的な変化でもある
Scene 05
“ブランドの価値を説明する”時代に入った?
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一方で、ブランドが経営資産として見られるようになると、“その価値をどう説明するか”も重要になります。
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確かに。
ブランドが大事だという感覚は共有されていても、投資としてどう見るかは別の話だ。 -
例えば、
「ブランドが売上や利益にどう影響しているのか」「その投資に合理性があるのか」
そういったことを説明できる体制や仕組みが求められるようになっています。 -
だから今は、単にデータを集めるだけでは足りないんだと思います。
重要なのは、それらの情報を次の意思決定につながる形で整理できているかどうか。 -
“分析結果”ではなく、“判断材料”として機能するかどうか、か。
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そうですね。
ブランドも「測る」だけではなく、経営判断につなげる“Intelligence”として扱われ始めているんだと思います。
ブランドは、“測る”だけでなく、“意思決定につなげる”段階へ
- ブランドが経営資産として位置づけられる中で、その価値を客観的に説明する重要性が高まっている
- ブランディングが売上や利益にどのように寄与しているのか、また投資として合理性を持つのかを示すことが求められている
- そのためには、単なるデータではなく、経営判断につながる“Intelligence”として整理・提示できる状態が重要になる
Scene 06
改めて、ブランドとはいったい何なのか?
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話をしてきて、そもそも企業にとってブランドって何なんだろう、と思い始めてきた。
以前とは、ブランドの意味そのものが変わってきているのか? -
昔は、“どう見られるか”に近かったと思うんです。
でも今は、もっと経営の深いところに入ってきています。 -
“どう売るか”ではなく、“どう判断するか”に近づいています。
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だから最近は、ブランディングを単なるコミュニケーションではなく、企業の成長を支える“Intelligence”として捉える場面が増えているんだと思います。
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Intelligence……
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データやリサーチ、分析ももちろん重要です。
ただ、それ自体が目的ではない。
その情報をどう解釈するのか。
どんな意思決定につなげるのか。
そして、それをどう成長に変えていくのか。
そこまで含めると、初めて意味を持ち始めます。 -
ブランドって、“伝えるもの”というより、企業全体の判断をそろえていく軸に近いのかもしれませんね。
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だから今、ブランドは企業の方向性や意思決定をつなぎながら、成長そのものを支える役割を持ち始めているのか。
ブランドの可視化は、“経営の解像度”を高めていく
- ブランドを可視化することで、中長期のKPI設計や投資判断の根拠を整理しやすくなる
- 経営層と現場の間で、「何を重視し、どこを目指すのか」という共通理解も生まれやすくなる
- BrandZのような外部評価を活用することで、市場から見たブランド価値を客観的に把握することも可能になる
ブランドとは、単なるコミュニケーションではなく、企業の意思決定を統合し、成長を支えていく仕組みそのものへと変わり始めている