旅心とAIが出会うとき:観光を変えるAIの力 

スティーブ・ウィグモア

プロファイル部門 モダンサーベイ シニアディレクター

旅の計画はAIでどこまで変わる?

AIを使うと、旅の計画はどこまで便利になるのでしょうか。世界10市場、1万人以上を対象にした調査から、旅行者がAIをどのように使い、何を期待しているのか、そして普及に向けてどのような課題があるのかを紹介します。 

旅の計画に広がるAI活用

ChatGPTをはじめ、AIは私たちの身近な存在になりました。旅行・観光業界も、予約サイトやスマートフォンなど、新しい技術を取り入れながら発展してきました。AIもその流れの一つであり、旅行者だけでなく、サービスを提供する企業にとっても重要な変化になりそうです。 

世界の旅行者の40%は、すでにAIを使ったツールで旅を計画しています。さらに62%が、今後使ってみたいと回答しました。現在の利用はまだ広がりの途中ですが、AIへの関心は高まっています。 



AIは、予算や好みに合わせて、行き先、宿泊先、移動方法、現地での過ごし方を提案できます。膨大な旅行プランや料金を短時間で比べ、複数の日程案をつくることも可能です。料金の変化を知らせるサービスを使えば、予約のタイミングも判断しやすくなります。 

自分に合った旅程をつくりやすい

AI旅行ツールの大きな魅力は、一人ひとりの希望に合った旅程をつくれることです。興味、予算、旅のスタイルなどを伝えると、それぞれの条件に合うプランを提案してくれます。 

たとえば、「家族で楽しめる場所」「予算内で泊まれるホテル」「移動の少ない日程」といった条件を入力すれば、希望に近い案をまとめて確認できます。自分で一から情報を探すよりも、計画の出発点をつくりやすくなります。

 



旅行者がAIを使いたいと考える主な理由は、「お得なプランを簡単に見つけられること」です。その次に、「宿泊先や現地での体験、移動方法について、より役立つ提案を得られること」が挙げられています。AIは、情報収集の手間を減らすだけでなく、これまで気づかなかった選択肢を知るきっかけにもなります。

 

普及の壁は「信頼」 

一方で、AIに関心があっても、利用をためらう人は少なくありません。AIを旅行計画に使っていない人の55%は、その最大の理由として「信頼できるか分からないこと」を挙げています。 



旅行情報には、料金、空室状況、営業時間など、短期間で変わる内容もあります。AIの提案がどの情報をもとにしているのか、情報がいつ更新されたのかが分からなければ、利用者は安心して判断できません。 

信頼を高めるには、AIがどのように情報を集め、提案を出しているのかを分かりやすく示すことが重要です。また、予約前には公式サイトなどで最新情報を確認するよう案内することも、安心につながります。仕組みや注意点が見えれば、初めて使う人も試しやすくなるでしょう。 

AIで旅はどう変わる?

今後、AIの進化によって、旅の体験はさらに広がると考えられます。たとえば、AIとAR(現実の風景にデジタル情報を重ねる技術)を組み合わせれば、予約前に旅先の風景や宿泊施設を、その場にいるような感覚で確認できるかもしれません。 

また、AIを使った翻訳ツールが進化すれば、言葉の壁が低くなり、海外での移動や会話もよりスムーズになります。旅行中の予定変更や、現地での情報探しを支えるサービスも増えていくでしょう。 

調査対象者の55%は、AIを搭載した旅行アプリやツールに「料金を支払ってもよい」、または「支払いを検討する可能性がある」と回答しています。また、回答者の半数は、AIが旅の計画にかかる時間と手間を減らすと考えています。特に旅行の機会が多い人にとっては、便利さだけでなく、費用を払う価値のあるサービスになる可能性があります。 




AIは、複雑な旅の計画を分かりやすくし、一人ひとりに合った選択を支える存在になりつつあります。信頼性への不安は残っていますが、情報の扱い方を明確にし、利用者が安心して確認できる仕組みを整えることで、AIはより身近な旅のパートナーになっていくでしょう。 

旅行者のニーズを、次のビジネス機会へ

AIの普及により、旅行者の情報収集や旅の計画方法は大きく変わり始めています。こうした変化は、サービスや顧客体験を見直し、新たな成長機会を見つけるきっかけになります。旅行者の意識や行動についてさらに詳しく知りたい方や、調査データをマーケティング施策に活用したい方は、ぜひお問い合わせください。お客様の課題に合わせて、最適な調査や分析方法をご提案します。 



本調査について 

本調査は、2024年11月12日から24日にかけて、世界10市場の消費者10,000人以上を対象にオンラインで実施されました。対象市場は、オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、シンガポール、韓国、アラブ首長国連邦、英国、米国です。すべての調査は、回答者自身がオンラインで回答する形式で行われました。各国において、世代と性別が均等になるよう管理された割り当てに基づいてデータを収集しています。回答者は、Kantar Profiles Respondent Hubを通じて募集されました。 


※本記事はKantar Globalが公開した記事をもとに日本語訳・編集したものです。  
原文(英語)はこちら:When machine meets wanderlust: The role AI plays in tourism | Kantar 



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