なぜ「売上」だけを追いかけてはいけないのか
商品を買う方法は、ここ数年で大きく変わりました。ECサイトの広告、ライブ配信での購入、SNSからの直接購入、AIによる商品提案など、消費者はさまざまな場所で商品と出会い、そのまま購入できるようになっています。コマースは単なる「買う場所」ではなく、ブランドを知り、興味を持つきっかけにもなっています。 もちろん、購入直前に表示される広告は売上につながりやすい施策です。しかし、商品が売れることと、そのブランドを好きになったり覚えてもらったりすることは別です。Kantarの「Blueprint for Brand Growth」が示す「Be More Present」とは、より多くの瞬間や場所でブランドを認識しやすくし、「買いやすい存在」にする考え方です。その場の売上だけでなく、「次も思い出してもらえる存在になること」が欠かせません。多くの場面で自然に目に入り、選ばれやすいブランドになることが重要です。
リテールメディアは売上だけでなくブランドにも有効
Kantarが1,589件のキャンペーンを分析したところ、リテールメディアは平均的な広告チャネルと比べて、購入したいという気持ちを10%、ブランドへの好感度を9%高める効果を示しました。また、広告認知は16%高く、自発的にブランドを思い出す割合は約2倍という結果も確認されています。
つまり、リテールメディアは短期的な売上だけでなく、将来の売上につながるブランドづくりにも役立つのです。

さらに、その強みは多くの人に届くことにもあります。消費者の約3分の2はソーシャルコマースに接触しており、同じくらいの人がECサイト上の広告を目にしています。実店舗内の広告も高く評価されています。Amazonの広告が評価される理由の一つは、利用者の興味や購買履歴を活用し、その人に関係のある情報を届けていることです。
TikTok Shopが示すソーシャルコマースの可能性
KantarがL’OréalとTikTokと共同で行った調査では、通常のTikTok広告にTikTok Shopを組み合わせることで、「買ってみたい」という気持ちだけでなく、「流行を生み出すブランド」「自分に合ったブランド」といった評価も高まることが確認されました。 SNSで高まった関心は、他のECサイトや実店舗での購入にもつながっていました。ソーシャルコマースは店舗の売上を奪うものではなく、さまざまな購入機会を後押しする役割を果たしていると考えられます。

AI時代に求められる新しいブランドプレゼンス
消費者の商品選びにおいて、AIの存在も無視できなくなっています。現在、AIアシスタント利用者の21%が、商品やサービスについて調べたり相談したりするためにAIを利用しています。
SNSやECサイトだけでなく、AI上でブランドがどのように紹介されるかも重要になります。消費者がAIからどのような情報を受け取り、その結果どのブランドを選ぶのか。企業はこうした変化を理解し、新しい接点としてAIを活用していく必要があります。
これからのコマース戦略で大切なこと
商品を売るための広告やコンテンツも、単発で考えるのではなく、ブランド全体の考え方とつなげることが重要です。どの媒体でもブランドらしさが伝わる表現を使い、一貫したメッセージを届ける。成果を売上だけで判断せず、認知度や好感度などの変化も確認する。そして、リテールメディア、ソーシャルコマース、AI、従来の広告を別々ではなく、ひとつの体験として設計することが求められます。
ブランド成長につなげる4つのポイント
1. リテール事業者と連携し、ファーストパーティデータを活用する
2. オーディエンスに合わせてクリエイティブを最適化する
3. クリエイターへ目的を明確に伝えつつ、表現の自由を確保する
4. 売上だけでなく、ブランドへの印象やAI上での評価も確認する
商品を売ることと、ブランドを好きになってもらうこと。その両方を実現することが、長く選ばれ続けるブランドへの近道です。リテールメディアやソーシャルコマースを活用して、売上とブランドの両方を伸ばしたい方は、ぜひお問い合わせページよりお気軽にご相談ください。最新の調査データと豊富な知見をもとに、ブランドに合った戦略づくりをサポートします。
※本記事はKantar Globalが公開した記事をもとに日本語訳・編集したものです。
原文(英語)はこちら:More than conversion: what retail media and social commerce can really do for growth
【本件に関するお問い合わせ先】
– ディレクター、ヘッドオブグロース&マーケティング 小川朋子
– E-mail:marketingjapan@kantar.com