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[調査]アルツハイマー病の介護をする人の健康実態(アメリカ)。

Michael Fronstin, Kantar Health


近年このような話をよく耳にします。
ある老夫婦が長年のお気に入りのレストランに車を走らせていると、夫が混乱し、なじみの場所を延々とぐるぐる運転している。一度きりのことなのか、より悪い状況、すなわち認知症もしくはアルツハイマー病の始まりなのかと心配し、妻はかかりつけ医の予約を取る。


自分の家族や友人のことを考えても、個人的に知っている人の中でいったい何人の人がアルツハイマー病に影響されていて、不幸にもこのような人々が増え続けていることに気づかされます。


アルツハイマー病協会によると、65歳超のアメリカ人の8人に1人がアルツハイマー病です。現在それは約520万人程度ですが、今後18年間で一日に約8,000人が65歳になるベビーブーマー世代は、おそらく有病率が急速に増加する原因になります。


残念なことに、アルツハイマー病には治癒法がありませんし、できる治療は、一時的に病気の進行を遅くするだけです。開発中の薬の中にはアルツハイマー病を持つ人々の脳内に蓄積したプラークを攻撃しようとするものですが、それらは最終的には何の助けにもなりません。業界では研究を続けており、アルツハイマー病の進行を遅くするための鍵は、長期リスクのある患者の予防的治療であると考えるリサーチャーもいます。しかし、疑問が残ります。誰がリスクのある人なのかをどうやって予測しますか?兆候のない人々は予防措置を取るでしょうか?


アルツハイマー病は、患者だけに影響を与えるものではありません。アルツハイマー病協会の推計によると、全米には1,500万人の無給の介護者が存在し、移動、入浴、着替え、金銭管理、最愛の人が怪我をしないように見守ることなど、彼らの仕事は多岐にわたります。アルツハイマー病患者の介護にかかる予期せぬ結果は、負担増の観点から測定することができます。


アルツハイマー病に関するシンジケート調査の一部として、Kantar Healthは、アルツハイマー病介護者であることの影響を測定しました。


まず、介護者は、介護に平均週60時間を費やし、給与を得られる仕事にはほとんど時間を使うことができません。次に、多くの介護者は、不眠、頻繁な頭痛や不安といった自分の健康問題を抱えています。さらに、アメリカの全国平均と比較すると、介護者は、物理的な生活の質だけでなく、精神的な生活の質も低いです。これらの問題は、介護者が最愛の人に注力するために自分の健康を無視するので、未解決のままになるでしょう。


将来、若い世代が、アルツハイマー病や他の慢性疾患を持つ、持たないに関わらず、年老いた家族を世話しなければならなくなることは明白です。製薬業界やその他の団体は、介護者のケアの重要性が高まっていることを認識し始めており、結果として、リソース、サポートおよびAARPにより実施されたキャンペーンのような直接的に介護者へ向けた広告の増加が見られます。


介護がアルツハイマー介護者の健康にどのように影響するかの詳細については、次のインフォグラフィック(英語)を参照してください。
http://www.kantarhealth.com/docs/infographics/kantar_health_world_alzheimers_day_2012.pdf


※この記事のオリジナルはこちらです。