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[記事]どの企業がデジタルエコシステムの戦いに勝つのだろうか?

Nigel Hollis, Millward Brown


Apple、Google、Microsoft、Amazonは、このデジタルの世界で競争を繰り広げています。それぞれが、中核事業に加え、モバイル機器、アプリケーションとクラウドストレージのエコシステムを提供しています。各社ともに自分の小さなワールドにユーザーを囲い込むべく全方位を統合しようとがむしゃらに動いているように見えます。これらのエコシステムの一つが戦いに勝つのか、それとも別のシナリオがあるのでしょうか?


技術的進歩は急速なペースで生じ、比較的短い時間で多くのことが起こります。この10年間の携帯電話市場で起こったことを考えてみてください。 BrandZのデータによると、2003年には、ノキアとモトローラは米国で携帯電話のユーザーの心を支配していました。わずか10年後、彼らは元の自分(とGoogle帝国のモトローラ・モビリティ部分)の単なる影程度にしかユーザーの心を支配していません。その間に、RIMのBlackBerryが急伸し、その後Apple iPhoneに取って代わられました。今SamsungとHTCが人々の気持ちを引きつけ、Appel iPhoneの支配が揺るぎつつある、と指摘されています。


一つのカテゴリーで技術の浮き沈みがある速度を考えると、大きなプレーヤーが、できるだけ多くの製品を跨いで統合することによりビジネスを安定させたいと考えるのに何の不思議があるでしょうか?


たとえあるカテゴリーの勝者になれなくても、彼らは可能な限り競争上の脅威を鈍らせるためにある程度のプレゼンスを持つ必要があります。だから、AppleのiPadは、支配的なタブレットですが、それはAmazon、Google、Microsoftが彼ら自身のタブレットを販売しない方向には働きません。ライバルたちは、自分の製品がユニークになるようにしてきました。AmazonのFireは、最も明確に自分のエコシステムを活用していますが、GoogleのNexus7やMicrosoftの今後登場するSurfaceは独自のOS上で実行され、間違いなくアプリケーションを増やすでしょう。


同様に、数週間前、Appleは、新しい携帯電話のオペレーティングシステムの一部として、Google mapを止め、独自の地図サービスを採用することを発表しました。この動きは、Appleの機器上でのGoogleのプレゼンスを低め、Googleにデータやユーザーへのアクセスを拒否するものです。しかし、それはシステムに既存のAppleユーザーを囲い込むかもしれませんが、それはまた、Google mapに慣れている人たちを遠ざけ、Appleの機器からスイッチする第一歩となるかもしれないことを意味します。NY Timesの記事に書かれているように、そのシステムは、年に10億ドル規模でAppleのリソースをかなり費やすことになるでしょう。


確かにエコシステムの戦いにリスクはつきものです。それぞれの企業は、現在多くの前線で戦っているので、新規よりも現在動いているプロジェクトに時間とリソースがコミットされています。これら4社はお金を持っていますが、持っているだけです。そして、消費者を囲い込むか突き放す(結果として、次善の製品を強いられることになる)ことは、危険なことです。だから、誰もエコシステムの戦いで勝とうとしていないように私には思えるのです。膠着状態は、現プレーヤーの期待できる最善なのです。なぜなら、新たな機会を開拓するためにちょっと変わった競合に道を残すからです。あなたはどう思いますか?膠着状態でしょうか、それとも完全な勝者でしょうか?現プレーヤーでしょうか、それとも新しいプレーヤーが出てくるでしょうか?あなたの考えを共有してください。


この記事のオリジナルはこちらです。


ご質問・コメントのある方は、Nigel Hollisにお願いします。
http://www.millwardbrown.com/Global/Blog/AboutNigelHollis.aspx


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