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[記事]ボリウッド(インド)はブランドの妥当性を保証する。

Jerry Clode, ADDED VALUE


ボリウッド(インドの映画産業)は、常に満足させることを目指しています。その強い思いによって、映画は国家の精神の強力な一部となり、またブランドプロモーションの比類ない媒体となっています。


Sanjay Dutt(ハリウッドでいうブルース・ウィリス)は、 『ゴーストバスターズ』の権利を購入したいと考えており、ビル・マーレーで有名になったPeter Venkman博士として自分をキャスティングしようと計画しているという噂があります。インド版では、三人の超心理学者がゴーストを退治するこの冒険(映画)が、ほとんどのボリウッド映画の特徴ともいえるいつもの歌と踊りを組み入れたものになるでしょう。


ハリウッド映画でボリウッドスタイルになった映画には、『ET』(Kol Mil Gaya)と『フォレスト・ガンプ』(My Name is Khan)が含まれます。近年インドにおいて新たなメディアチャネルが急速に発展してきているにもかかわらず、進化するボリウッドは未だに地元の観客にとって最も野心的で魅力的なコンテンツを提供します。ボリウッドは、その優れたパフォーマンスで社会的・経済的に有望なインドの消費者をターゲットとするブランドに働きかけます。


2011年最大の映画の一つは『ボディガード』で、長く一流男優として人気をはせるSalman KhanがLovely Singhという普通の男性が危険から女の子を救うために英雄的な活躍をするものでした。彼の特徴的なダンスの動きやセリフは熱狂的なファンにまねされ、彼のポロシャツ、ブーツやサングラスは、ローカルブランドからの支持を受けた利益を生むラインを作り出しました。ペプシコのMountain Dewも、Khan映画のペルソナである生き生きとした男らしさを活用し、Mountain Dewの広告で都会に暮らすインド人男性を鼓舞し、意欲をかきたてるようにしてきました。


ボリウッド映画 『アイーシャ』は新しいブランドを生き生きさせています。


『ボディガード』が伝統的な映画のスタイルをうまく再度パッケージし(て世に送り出され)た一方で、新しい世代の豊かなインドの観衆は、ボリウッドを違う方向へと動かしてきました。2010年のロマンティックコメディ『アイーシャ』は、ブランドで飽和した映画の世界、デリーのエリートの贅沢なライフスタイルに着目しました。


有名なファッションアイコンであるトップ女優Sonam Kapoorが着用する衣服は、サルヴァトーレフェラガモとクリスチャンディオールにより共同で制作されました。国際的高級ブランドが、ボリウッドプロダクションのスターや台本とこれほど密接に結び付いたのは初めてのことでした。ロレアルパリは、香水のアイーシャ・コレクションを立ち上げ、映画のリリースに合わせてKapoorが登場するテレビ広告を放映しました。これは、ブランド製品の位置づけ方や支持の取り付け方の新しいベンチマークとなっています。


デビアスグループの一員であるフォーエバーマークもまた、アウェアネス(認知)を作るために映画を使っています。増加する国際的なインドの中流階級にアピールするため、そのダイヤモンドブランドは、最近のロマンティックコメディ『Desi Boyz』に製品を位置づけました。その映画は、ロンドンにいる二人のインド人男性が景気後退で職を失うものの、インドのアイデンティティと結びつくことによって真の愛を見つけるというものです。フォーエバーマークのウィンドウディスプレイが、ロマンティックな曲のシークエンスに含まれ、その増えているグループ(層)に人気のある現代的な形のロマンスとつながります。


国際的な冒険はまた、『Zindagi Na Milegi Dobara』の昨年の驚くべきヒットのカギとなるテーマでした。これは、三人の若いプロフェッショナルが、友人の婚約を祝うためスペインでの車の旅に乗り出すという話です。この話は、伝統的な家族への期待に合わせる現代のインド人の挑戦(する姿)に着目しました。しかし、これはまた、スペイン観光団体である、Turespanaと共同でスペインを旅先としてプロモーションするというブランドのエンターテインメントとしても使われました。


インドの中流階級の懸念を表明する映画が、ブランドにとってボリウッドの信頼性を支えています。永続的な公務員の汚職への抗議が、『No One Killed Jessica』でした。これは、英雄的なジャーナリストが歪んだ警察によって隠された殺人を公にするために闘う映画です。より気楽な感じの『Singham』は、ある小さな街の汚職を打ち負かすため、(重)力に逆らった戦闘スキルを使うまっすぐな警官を描いた映画です。この映画は、主役の一撃一撃に彼らの不満をぶつける都会の群衆を応援するように表現していました。


このようにシームレスにトレンドや社会問題を入れ込むことで、ボリウッドは、願望や欲望がかなう究極の夢工場としての地位を維持しています。常にインドの深遠な経済・社会の変化と調和させ、自分自身を再定義する(ボリウッドの)能力は、10億人の消費者の多様な国における国家的な媒体としてのボリウッドのユニークな地位を保証してくれます。


そして、ボリウッドは、未だにブランドに感情的で魅力的なストーリーを作るための卓越した方法を提供しています。


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