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[記事]中国の一人っ子政策2.0。

Jerry Clode, Cultural Insight, Added Value UK


中国の一人っ子政策は、一人っ子の子供は一人っ子しか生まないという、新しい一人っ子政策2.0として成長しています。


一人っ子政策は、1979年に開始され、1980年代早々には十分に浸透しましたが、ほとんどの家庭で子供を一人に制限し、中国社会に多大な影響を与えた歴史的にユニークな社会実験でした。中国の新たな機会に着目するブランドにとっては、一人っ子政策の影響をつかむことが中国での成功のカギです。


一人っ子政策の結果として、我々は今、男の子として成長した女の子、ママになりたくないママ、女性がいないデートシーンに直面する男性を目にします。放蕩息子の娘は放蕩娘になります。息子として育てられた娘たちは、(息子が享受するはずの)資源や教育にアクセスして育っており、中国社会の伝統的な家父長的規範を受け入れない女性になっています。


「一人っ子」という新しい世代が作り出すダイナミズムが、ブランドに興味深い課題と機会を提供します。


上海のような大都市では、ファッションとスタイル選択で性(ジェンダー)の規範にチャレンジする人々(女性)を見ることができます。「toy boy、中世的な」格好が、彼らに人気のある主張(の仕方)です。ブランドの観点から言えば、彼らは男性が優れていることを示すものを拒否し、周りの男性が愚かに見えるようなオフィスのヒロインであることを喜びます。


Adidas Originalは、新しいオンラインのキャンペーンで女性パンクシンガーのKang Maoと女性タトゥーアーティストを採用して「toyboyism」の精神を称えました。彼らは両方とも力強く攻撃的な女性のステレオタイプです。


一人っ子世代の子供たちのもう一つの注目すべき影響は、「ブティックママ」の登場です。子供のときに甘やかされることに慣れているため、中国の若い女性は母親に必要とされる無私無欲になることに四苦八苦しています。


助けとなるのは、孫を溺愛する四人の祖父母です。彼らはフルタイムの「偉大な両親」として喜んで子育てに参加します。このシナリオに満足して、若い母親は、美や高級品への消費を維持、高めつつ、もう一人子供を持つことが難しいことをわかったうえで仕事を続けます。それらは、子供を一人生んだことで家族に家系維持(の喜びや安心)を与えた報酬なのです。


結果として、母親の養育の役割についての感情的なキャンペーンは、中国では「なし」です。子供たちにとっての大人の現代的なロールモデルとしての母親に焦点を当てたコミュニケーションは、「あり」です。


また、一人っ子政策は、男女の数の不均衡を作りました。伝統的に息子がほしいという欲求のために男の子が多く、女の子が少ないのです。これは、結婚市場に直接影響を与えました。つまり、若い女性の方が、よりえり好みをし、夫に対する要求が強いということを意味しています。


結果として、中国の男らしさが打撃を受ける、すなわち、男性はどのように自分たちを表現すればいいのか不安になっています。その結果が、この3-5年で生じた巨大な男性育成カテゴリーの発展です。Metro-sexualism(注。Wikipediaを参考にすると、メトロセクシャルとは、外見や生活様式への強い美意識を持ち、そこに多大なる時間と金とを注ぎこむ男性)は、中国において一時的なトレンド以上のものがあります。それは女性不足に起因する若い男性の生き残り方法となっています。


一人っ子であることは一般的に見られますが、一人っ子として育った世代が成長したとき、これは社会に大きな影響を与えます。中国に野心を抱くブランドは、このダイナミズムを取り組むことを意識しなければなりません。


※この記事のオリジナルはこちらです。


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