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[記事]ネットに勤しむ医師 - 東洋vs欧米。

Simon Li, Kantar Health


「Social health」が欧米で高まっています。すなわち、医師はオンラインで時間を費やし、(Skypeやウェブカメラを通した)医師のバーチャルな訪問が増え、医師・患者ともに医療記録にオンラインでアクセスし、緊急救命室の待ち時間がスマートフォンやTwitterで通知されます。欧米の医師は医師に特定したオンラインコミュニティにますます参加するようになっており、EU・アメリカの医師の3分の2以上が積極的にオンラインに関与しています。我々は、そのようなサイトがまだ満たされていないニーズや治療動向を確立するのに使われたり、ニッチ・専門家のコミュニティに質問を投稿したり、パネルを作るべく使われたりする例を複数見てきました。しかし、「オンライン革命」はアジア市場にどのような影響を与えているのでしょうか?また、さまざまな主要地域でのマーケティング・キャンペーンをどのように修正すべきなのでしょうか?


私は、Kantar Healthの中国オフィスで働いています。我々は、中国最大の医師のネットワークであるDXY.comとのパートナーシップ関係から、170万人以上の医師メンバーがソーシャルコミュニティでの議論(この後詳しく説明します)に参加していることを知っています。調査から、かなりの数の人々が、Good DoctorGood Physicianのサイトを訪問していることを知っています。また、日本のm3.comが17万5千人以上の医師メンバー、韓国のMedigateが7万5千人以上の医師メンバーを保有し、インドのDoctor's Hangoutには1万5千人の医師が積極的に参加しています。そのようなサイトで見られるコミュニケーションの傾向は、文化の違いのバリエーションを持つ欧米と似ています。例えば、ほとんどのアジアの地域では、挑発的な議論は避けられる傾向があります。なぜなら、欧米の医師なら知的な魅力ある議論とみなすような会話を気軽に行ったとしても、不適切とみなされるからです。また、我々は、グループとして78%のアジアの医師がソーシャルメディアに(主に仕事以外で)参加していることを知っていますが、現在に至るまで、このことについて分析してきませんでしたし、これらの医師が新しく、革新的な方法(ソーシャルメディアなど)にどのように関わっているのか考えてきませんでした。


あらゆる形のコミュニケーションに対する利害関係者の態度を理解することがマーケティング成功の鍵であるという前提で、我々は、アジアで医師がどのように情報を消費し、デジタルでコミュニケーションを行うかについて理解しようと(調査に)着手しました。まず急速に成長する市場、中国に関して。我々は、DYX.comと提携し、300都市7,000人の医師のオンライン上での習慣について、グループ会社であるTNSの実績ある消費者オンラインセグメンテーションモデルを用いて究明しました。この画期的な調査では、中国の医師は欧米の医師と同様にインターネットに精通しており、その98%がインターネットにアクセスし、一週間で平均11時間オンライン上で時間を費やし、その大部分の時間は医療活動に費やされていることがわかりました。


その調査が示すのは、中国の医師は一般消費者が通常アクセスするよりもインターネットにアクセスしていることです。また、小さいTier 3の都市の医師は、大きな都市の医師よりもよりアクティブにオンラインを使います。(大きな)Tier 1の都市の医師がわずか週3.7時間であるのに比べ、彼らは週当たり平均6.5時間費やしています。この発見は、最初は意外に思えるかもしれません。しかし、Tier 3の都市では、治療を待つ患者が長い列を作るわけではなく、医師が他の地域の同僚と連絡を取り合うのにインターネットが不可欠であると考えれば、この統計ははるかに理にかなっています。これは、欧米の製薬会社にとって興味深い問いを提起します。彼らは、以前は自分たちのターゲットではなかった地域に住む医師に影響を与えるオンラインマーケティング・セールスモデルに目を向けるべきでしょうか?さらに、変化するテクノロジー環境を利用し、インターネットベースのコミュニケーション・コマーシャルモデルを使う広大な市場に消費者を参加させる機会は何でしょうか?


我々の調査はまた、彼らが訪問する鍵であるオンラインを使う目的を確認しました。日々の活動では、医療ニュース(64%)、医療コンテンツの検索(42%)、教育、フォーラムでの議論やTwitter(3分の1が中国のソーシャルネットワークを使う。TwitterもFacebookも中国ではブロックされているが、国内のソーシャルメディアは生きています)で医療知識を共有しています。オンラインでの活動の頻度とばらつきから、中国の医師はインターネットから遅れているというステレオタイプのイメージや、メディカルスクールを出た若い医師(それゆえ処方者としては重要でない人々)だけがオンラインのアクティブユーザーであるという固定概念は否定できます。
※図表1はOriginal articleでご確認ください。


我々はまた同様の調査をアメリカやEU、他のアジア地域でも実施しました。結果を用いて、次のポイントに従って医師を評価しました。すなわち、使用頻度や一般的なオンラインでの活動、オンライン利用に関する記述への医師の合意、個人的な重要性の観点からみたオンライン活動の評価、年齢・性別、このような使い方の消費者タイプとの比較などです。アメリカ・EUでは、一般的に6つのセグメントに均等に分散しています。しかし、PCPと専門家は、「Functional(機能的)」と「Knowledge-Seeker(知識を追い求める)」のカテゴリーに多く寄っており、「Aspirational(向上心のある)」セグメントは少なくなっています。これが中国の調査になると、欧米と比較して、医師はオンラインコミュニケーションにもっと簡単に慣れ親しみ、より深く入り込んでいます。彼らは、単に「Functional(機能的)」であるよりも「Communicators(コミュニケーションをとる)」もしくは「Knowledge-Seeker(知識を追い求める)」に分類されます。
※図表2はOriginal articleでご確認ください。


世界中の医師と効果的にコミュニケーションを行うには、チャネルとしてオンラインを使わなければならず、オンラインスペースで効果的にセグメンテーションすることが中期・長期的な成功の鍵となることは明らかです。今後は、医師のグループは、ますますアメリカやヨーロッパの一般消費者と似てくるでしょう。「Knowledge-Seeker(知識を追い求める)」の割合が大きいことは除きますが。


世界のどこでも教訓はシンプルです。細かいセグメンテーションは、どの利害関係者がどのような情報を必要とするかを明らかにし、それと同様に時間や必要とする情報源を明らかにします。


詳細については、Simon Liにご連絡ください。


※この記事のオリジナルはこちらです。


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