2012.2.06【ヘルスケア】
[調査]日本のウイルス性C型肝炎(HCV)の患者は、緊急治療で来院する患者の2倍に及びます。
日本のウイルス性C型肝炎(以降HCVと略)の新規症例数は、それが1930年代に急速に広まったとき以降減少しているものの、HCVは依然としてかなりの医療資源(=医療費)を使い、その患者が緊急治療室を訪問する回数は、調査対照群と比べて2倍以上にもなります。
医療資源(=医療費)の使用に高い直接費用がかかるのに加え、HCV患者の仕事の生産性はかなり落ちるので、雇用主にも間接的なコスト増がもたらされます。最近の調査「ウイルス性C型肝炎患者にとっての病気の負担:日本で実施した全国調査による根拠」が、雑誌『Value in Health』で発表されました。これは、年一回18歳以上の大人を横断的に調査した日本の National Health and Wellness Survey( NHWS)の2008年、2009年の自己申告の患者のデータを精査し、HCVの診断に関連する因果関係について究明したものです。その調査レポートは、Health Economics and Outcomes Research のディレクター(PhD)Marco DiBonaventuraとKantar Healthが執筆しました。
この調査は、International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research (ISPOR)の公式ジャーナル『Value in Health』の特別第3版(15巻、補足1、http://www.ispor.org/consortiums/asia/ViHAsia_SpecialIssue3.asp)に載ります。
NHWSの分析は、日本のHCV患者が調査対照群に比べ50%以上多く医師に会い、200%以上緊急治療室を訪問しており、それが高医療費につながっていることを示しました。 また、HCV患者の終業時間は、調査対照群に比べて8.76%少ないことがわかりました。要するに、調査対照群と比べるとHCV患者当たり年22稼働日が少ないのです。
血液媒介感染症であるHCVには、日本の200万人を含む全世界1億7,000万人が感染しています。
「HCVは、肝硬変と肝細胞癌につながる可能性があるため、その影響は感染の後期段階で十分に認識されます。しかし、この調査結果は、HCVが感染の早期段階でも医療資源(=医療費)使用の点でかなりのコストドライバーになり、生産性を失わせうることを示唆しています。」とDiBonaventura博士は述べています。「これらの社会的費用に加え、日本におけるHCVの患者は、肉体的苦痛、健康全般およびメンタルヘルスで測定されるクオリティ・オブ・ライフのレベルがかなり低くなっています。これらの結果を前提として、この調査では、ウイルスの蔓延の結果だということを強調しています」。
『Value in Health』(ISSN 1098-3015)は、医療従事者が科学的根拠に基づいた意思決定を行うことができるよう支援する政策的なペーパーであると同時に、医療経済学及び成果分析の領域を発展させるアイデアやコンセプトを公開しています。そのジャーナルは、隔月発行され、全世界で6,000以上の臨床医、意思決定者およびリサーチャーに読まれています。
International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research (ISPOR)は、健康を改善するために医療資源(=医療費)使用の効率性、有効性および公平性を高めるように努める非営利団体であり、国際的、教育的、科学的な組織です。
※この記事のオリジナルはこちらです。
(参考)
厚生労働省ホームページ:C型肝炎について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/02.html