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[記事]燃えよドラゴン - 中国の悪いイメージをなくして成長するブランド -

Jerry Clode, Added Value


中国の経済力が大きくなるのと同様に、中国ブランドの国際的に拡大したいという野望も大きくなっています。実際、いくつかの中国のブランドは、すでに欧米で勢いを増し始めています。成功した例では、白物家電メーカーのHaier、コンピュータおよび通信ソリューションを提供しているLenovaとHuaweiがあります。


海外で成功した第一波の中国ブランドにみられる顕著な特徴は、 「中国らしさ」が明らかに欠けていることです。 「中国製」や中国として文化的に認識されるような明確な印がブランドイメージの中には何も存在しません。


興味深いことに、1980年代、1990年代に日本ブランドがグローバルに輸出されたときには、同様の戦略がとられていました。戦争時に日本が侵略を行ったという負の記憶を意識してか、ブランドは、デザインや表現であからさまに日本というキャラクターを表示するのを避けました。ソニーのウォークマンからスーパーマリオ、ポケモンに至るまで、氾濫している日本のエレクトロニクス、エンターテインメントなどの消費者ブランドは、それが日本を起源にしていることを全く示さない文化的無色な存在でした。これは、当時のアメリカブランドのグローバルな拡大の様相とは全く逆でした。すなわち、典型的なアメリカブランドは、競争上の優位性の一つとしてアメリカ製であることを誇示しました。


文化研究者の岩渕功一氏は、日本ブランドが国際的に成功したのは、自国と結びつくネガティブな連想をさせないことで「文化的無臭」を実現する能力だと主張しています。言い換えると、日本ブランドは「文化的に嫌な臭い」がしないということです。


この実証済みのアプローチは、グローバルに拡大したいという野望を抱く中国ブランドにとっても同様に有利なものとなりえます。特に、中国起源のブランドに潜在的な障壁となりうる(中国の)人権に関する道徳上の不信感と相まって、中国の経済的影響力が欧米に不安を与えている状況においては有利です。消費者の懸念を払拭する手っ取り早く実用的な方法は、中国や中国文化で作られているものという連想をさせないことです。


このアプローチを採用しているブランドの面白い例は、デジタル機器やカメラの製造メーカーであるAigoです 。中国語のブランド名は 「愛国者」を意味 - 愛国的な誇りと直接結びついている - し、中国市場では非常に人気があります。しかし、国際市場向けのブランドは、それが中国製であることや中国をイメージするものは取り除かれています。 Aigoの国際ブランドのロゴは、F1の名門ボーダフォンマクラーレンメルセデスチームのスポンサーであることを特徴付けており、中国語とそれを示す表象をより印のない直線や曲線に変えています。それはVodafone, Mobil, SantanderのようにMcLarenのスポンサーらしくなじんでおり、Aigoが中国ブランドとして注目されることはありません。


復興する中国に対する欧米の懸念という文脈の中では、中国らしさの欠如が、海外での中国ブランドの初期の成功を特徴付けています。簡単に言えば、欧米の消費者が新しいグローバルな中国ブランドの考え方に慣れていくのですから、文化的な悪臭を漂わせないことが、中国ブランドにとって彼らを魅了する最も良い方法となりうるでしょう。


(参考)Aigo英語サイト:http://en.aigo.com/
     Aigo日本語サイト:http://jp.aigo.com/
     Aigo中国語サイト:http://www.aigo.com/web/


※この記事のオリジナルはこちらです。


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