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[記事]Cokeのソーシャルメディアでの成功は、大きな成功の一部に過ぎません。

Nigel Hollis, Millward Brown


USA Todayの記事が、Coca-Colaのソーシャルメディアにおける成功を称賛しています。しかし、率直に言って、Cokeのソーシャルメディアにおける成功は、世界的な成功の縮図なのです。


世界中でCokeを飲んでいる人が20億人存在することを考えると、Facebookの3,600万人(原文訳。USA Today記事では3,500万人と記載)のファンは、大海の一滴にすぎません。Cokeが世界的な強豪ブランドでなければ、多くの人にFacebook上で「いいね」を押してもらったり、Twitter上でフォローしてもらったり、YouTubeのビデオを見てもらえることはありません。


誤解しないでほしいのですが、Cokeは、ファンやフォロワーを魅了するような素晴らしいソーシャルメディアの活用を行ってきています。 Facebookにおける成功の鍵は、独自のファンページを排除したり、競ってオフィシャルページを作成することよりもむしろそれを受け入れるという決定でした。また、この決定は、ファンが投稿を自分たちで管理するよう促したことから賢明だとも言えます。


世界広告主連盟(WFA)とMillward Brown社が実施したファンの価値に関する調査では、ファンページで継続的に関与する際には信頼と透明性が重要だということがわかりました。一方で、ファンにより多く戻ってきてもらうためには、変化や新しいアイデア、妥当なレベルの投稿の頻度が大切だということもわかりました 。


また、Cokeは、ソーシャルメディアが広告ではなくコミュニティであること、顧客獲得(の手段)というより顧客との結びつき(の手段)であること、売上(を得る手段である)以上に顧客ロイヤリティ(を得る手段)であることに気づいています。しかし、Cokeが世界で最も大きなブランドの一つでなかったならば、それはFacebook上で最大のブランドになりえたでしょうか?答えはノーです。他のブランドが、最初にファンを作ることなくCokeの成功をまねるよう薦めるのは全くの詐欺です。ソーシャルメディアで成功するブランドは、既に規模があり、何か違うものを表象しています。だからこそ、Oreo、Red Bull、そしてConverseのAll starは、ソーシャルメディアのランキングでトップ10に入るのです。


人々は、力を与え、熱狂させ、魅力を喚起するブランドに最もよく反応します。あまり知られていないか、面白みのないブランドが、ソーシャルメディアで好かれることはありません。解は、ブランドが何を表象しているのかをはっきりさせ、単にファンページを立ち上げて、偶然人々に来てもらおうとするのではなく、様々なメディアを介してそれをプロモーションすることにあるのです。ソーシャルメディアのパワーを活用しようとしているブランドにとって、最初に問うべきことは、ソーシャルメディアがブランドのためにできることに注意するのではなく、「私のブランドは、顧客のために何ができるか」なのです。


ブランドは、ソーシャルメディアを活用して成功できますか?答えはYesです。しかし、創造性と昔ながらのメディアを複数カバーすることなくしては、成功できません。クイーンズランド観光の例を見てみましょう。『The Best Job in the World(世界で一番の仕事)』の広告とグレートバリアリーフ島の管理人の仕事に応募者を勧誘するという策は、すばらしいものでした。その仕事のユニークさは、伝統的なメディアとソーシャルメディアの両方でその言葉を拡散したことで十分に保証され、結果として世界中から3万人以上の応募があり、無料のパブリシティが何百万ドルをも生み出しました。


広く愛されているメガブランドにとって、ソーシャルメディアで直面する実際の問題は、どうやって最初の結びつきを単純な親しみの象徴以上のものとして維持するのかということです。Coca-Colaでさえ、ファンとつながる新しいやり方を継続的に見つけなければなりません。そうでなければ、『ファンたち(fandom)』の目新しさは、すぐに廃れてしまうでしょう。


ソーシャルメディアに関する私の見解が間違っていると思いますか?間違っているならば、その理由を教えてください。ご意見をお待ちしています。


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[参考]引用されたUSA Todayの記事の一部。Kantar Japanによる意訳。
・Coca-Colaは、Facebookで最も人気のあるブランドの一つ。3,500万人のファンを抱え、16番目に人気のあるページとなっている。
・Cokeにとってこれらのファンは重要である。なぜなら、ファンでない人々と比べると、ファンの消費意欲は2倍、購買意欲は10倍にもなるからだ。
・Coke全体の290億ドルの広告戦略の一部に過ぎないとはいえ、ソーシャルメディアに力を入れることは、明らかに割に合う。
・例えば、Facebookの場合、2人のCokeファンがCoca-Colaのファンページを開設。それが100万人のファンを突破したとき、Cokeは(Cokeのルールに則った)オフィシャルページを作るよりもむしろ、そのコミュニティを受け入れるという判断を下した。(それが3,500万人にも及ぶコミュニティに繋がる)
・また、(40万人のフォロワーが存在する)Twitterの世界は、Cokeが消費者からのフィードバックをどのように扱うかに大きく影響を与え、Cokeのカスタマーサービスを変えた。