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なぜメディアを「クロス」させた方が良いのか?

デジタルとFacebookのさらなる活用方法

前回、「Facebook広告による態度変容効果を検証」でご紹介したようにFacebook広告には態度変容効果があることがわかった。今回は、それを他のメディアと比較した結果をご紹介する。調査手法には、カンターグループMillwardBrown社のCrossMedia Research(クロスメディア・リサーチ)を用いた。分析は、 Facebookと共同で調査を実施した日本の大型ブランドキャンペーンについて、測定された複数の効果データを統合する形で行った。態度変容効果という同じ土俵で、メディア間の効果の違いやシナジー効果についての発見をご紹介する。


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大型キャンペーンでの平均的なデジタル予算比はまだ1割

FB2.png今回の分析の対象となったキャンペーンは、成熟ブランドから新製品ブランド、消費財から耐久財、全性年齢をターゲットにするものから特定の性年齢をターゲットにするものなど、異なる条件・状況下で実施された。いずれも共通しているのは数億円のメディア予算で実施された大規模なブランドキャンペーンであったということだ。これらのキャンペーンのメディア予算を平均化すると、デジタルの予算比率は全体の1割ほどとなった。これはあくまで一部の大型キャンペーンを取り出した結果である。ちなみに、電通発表の「2015年日本の広告費」によるとデジタル広告費は、総広告に対して既に19%、メディア費だけでも15%となっており、成長が続いている。デジタル広告は予算が少なくても実施することができるので、今回の分析対象となったような大型キャンペーンに絞った場合には、デジタル予算比はまだ1割ほどしかないというのが実情なのかもしれない。

 
なお、デジタルで先行している米国を見ると、既に32%がデジタル広告費となっており、2017年にはデジタル広告費がテレビの予算を超えると言われている。 (出典:eMarketer June 2014)


メディア予算の偏りがもたらす弊害

FB3.gifメディア予算が偏ってしまうことの弊害として、キャンペーンの投下量が一部の消費者層に集中し過ぎてしまうという点が挙げられる。以下は評価されたキャンペーンの中でもテレビの予算比が高かった典型的な例であるが、ターゲット人口の中で29%しかいないテレビのヘビー層に対して、キャンペーン全体GRPの64%が消費されていた。逆に、テレビをあまり見ないライト層や非利用層は42%存在するのに対して、キャンペーン全体GRPの10%しか広告が到達していなかった。つまり、テレビへの過剰投資は一部の過剰接触者を作り出すだけで、テレビをあまり見ない層への接触頻度はなかなか高まらないということだ。そのため、大型キャンペーンでは、テレビだけではなく、複数のメディアに予算を分散させた方が、ターゲットに広く適度な接触頻度でキャンペーンを浸透させることが出来る。

 
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主要デジタルメディアの組み合わせが、 デジタルリーチを最大化させる。

テレビでは届かない層へのリーチ補完として、デジタルメディアをどのように活用すると良いのか。以下は、今回分析対象となったキャンペーンの平均的なクロスリーチ状況である。大型キャンペーンが分析対象になっているということもあり、Facebookによってテレビに追加できるリーチは平均2.7%となり、ほとんどのFacebookのリーチはテレビのリーチと重複していた。これはFacebookに限らず、主要なデジタルメディアである大手ポータルサイトや動画共有サイトについても、それぞれテレビに追加できるリーチは3.3%、2.2%と非常に限定的であった。ただ、上記で述べたように、テレビはリーチしたとしてもフリクエンシーが薄いライト層や非利用層がいるので、デジタルメディアによってその接触頻度を補う意義は大きい。また後述するシナジー効果も考えるとテレビとの重複は重要だ。

 
次に主要なデジタルメディア同士のクロスリーチを見ると、それぞれが独自のリーチを持っていることがわかる。特にモバイルからのアクセスが中心であるFacebookは、その他のデジタルメディアとは異なる層によくリーチできていた。したがって、デジタルメディアにおいても一つのメディアに偏らずに分散させることで効率的にデジタルメディアのリーチを最大化することが出来ると考えられる。

 
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深い態度変容はメディアを重ねないと上がりづらい

各メディアの効果に入る前に、まずはクロスメディアキャンペーンを実施することでどのような態度変容効果が期待できるかを見てみる。CrossMedia Research(クロスメディア・リサーチ)の特徴の一つとして、キャンペーンによる態度変化を、メディア投資に直接起因する広告効果と、それ以外の間接的な影響(広告以外の影響である広報活動や口コミ、店頭活動、直近キャンペーンの忘却など)を切り離して分析できる点が挙げられる。

 
以下左のチャートは、今回分析対象となったキャンペーンのブランド指標を、認知、意向、行動、イメージという4つのグループに分類して、平均的なキャンペーン効果を分析した結果である。認知関連の指標は広告効果によって上昇しやすいものの、意向、行動とファネルを深く進むにしたがって、広告効果で上昇させられる値は小さくなっていく。この結果は各キャンペーンごとに見ると大きく異なる。新規ブランドの場合、過去の蓄積がないため1度のキャンペーンで得られる広告効果は大きい。一方、成熟したブランドであれば、過去の活動の蓄積でブランド態度が築かれているので、1度のキャンペーンによって意向や行動といった深い態度変容を新たに作り出せるのはターゲット人口の数%しかいないということが多い。また、直近のキャンペーンの影響が強く残っていて広告効果が限定的になることや、広報活動や店頭活動に力を入れると広告以外の影響が強くなることもある。

 
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FB7.gifさらに、CrossMedia Research(クロスメディア・リサーチ)では、広告効果のうちメディア単独接触による効果と、複数のメディアに接触することで初めて生まれるメディアシナジー効果を明らかにすることが出来る。上記右の図は、各指標における広告効果の、単独効果とシナジー効果の内訳を表している。例えば、認知の広告効果7.3%の内、21%はメディアシナジー効果によって生まれていると解釈する。これを見ると、認知のような上がりやすい指標は単独メディアの接触でも上昇するものの、意向や行動といった深い態度変容を生み出すためには複数メディアへの接触が必要だということがわかる。

 
そのため、認知が飽和しており、その先の態度変容が課題となっているような成熟ブランドのクロスメディアキャンペーンでは、テレビのリーチを補完するという視点だけではなく、いかに他のオフラインメディアやデジタルメディアによる重複メディア接触を作り出し、メディアのシナジー効果を引き 出していくかという視点も重要となってくる。


テレビは認知に、デジタルはより深い態度変容である意向や行動に効く

それでは、メディア別の広告効果はどのようになっているのだろうか。以下の図は、各指標での広告効果のうち、テレビ、テレビ以外のオフラインメディア、Facebook、Facebook以外のデジタルメディアに効果を分類したものである。例えば、認知での広告効果7.3%のうち、72%はテレビによる効果と解釈する。

 
このように見ると、認知ではテレビが強いものの、意向、行動とより深い態度変容を見ていくと、デジタルメディアの貢献が増していくことがわかる。従来調査では、各メディアで広告を認知した人をベースに、ブランドへの態度の違いを分析することがあるが、デジタルメディアはそもそもの投資が少ないこともあり、分析に必要な広告認知者が集まらず分析されないことが多い。しかし、実はその先の態度変容でこそデジタルの真価が見られるのである。


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デジタルメディアはテレビに比べて平均5倍効率が良い。
特にFacebookは行動喚起において圧倒的に投資対効果が高い。


さらに各メディアの効果シェアをメディア予算のシェアで割って、投資対効果を比較すると以下のようになる。例えば、テレビの認知における投資効率スコア96%は、認知におけるテレビの効果シェア72%を、テレビの予算シェア75%で割ったものである。予算のシェアよりも効果のシェアが大きければ100%よりも大きな数字となり、数字が高いほど効率的ということになる。このように見ると、デジタルメディアが認知も含め全体的にオフラインメディアよりも効率的であり、予算を増やす余地が大きいことがわかる。また、Facebookはデジタル広告の中でも、特に行動喚起で非常に効率的であるということも見えてくる。


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手持ち無沙汰なマイクロオケージョンがモバイル&ソーシャルの魅力

なぜこんなにFacebookは行動喚起で効率的なのだろうか。以下はFacebookとKantar JapanがFacebookユーザーに関する調査を行った際の、平日におけるテレビとFacebookの時間帯別利用状況である。これを見ると、移動や外出が多い日中の時間帯で、テレビの視聴者よりもFacebookの利用者の方が多い傾向がみられる。Facebookの利用デバイスは9割以上がモバイルであるため、平日の移動中であってもいつでもFacebookを利用することができる。そのため、購買行動の近くで広告をリーチさせることで行動を促しやすいのである。例えば、シャンプーが切れたのでそろそろ買わなければと考えていたOLが、ランチ帰りや、帰宅中の電車の中、はたまたドラッグストアにいる最中に、Facebook広告に接触して、購入を後押しされるというシーンをイメージしていただくとよいだろう。また、従来のデジタルメディアは、検索やニュース、動画コンテンツなどユーザーが他に目的を持っている状態で広告を届けるため、広告に目が向かいづらかったり、邪魔だと思われる問題があったが、Facebookユーザーの心理的な利用オケージョンとしては、手持ち無沙汰な時やリラックスしている時に利用されることが多く、より広告にエンゲージしやすい心理状況で広告を届けられる。


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FB11.gif海外でも購買行動とFacebook広告の関係は取り上げられている。ESOMARという市場調査の国際的なカンファレンスでカンターグループのMillward Brown DigitalとFireflyが2014年に発表した「The Impact of Mobile and Facebook while shopping」では、モバイル端末上での行動を分析した結果、Facebookは他のアプリやサービスに比べて、お店の中で4倍の頻度で使われているということが判明した。


テレビとのメディアシナジーが働きやすい 記憶に残るタイミング

Facebookユーザーの82%は、平日1日の中でテレビとFacebookのどちらも利用するため、シナジーが働きやすい状況がある。特に上記の時間帯別分析結果を見ると、テレビのプライムタイムである夕食時を経た夜遅い時間帯ではFacebookとテレビの併用が増え、1日の最後である就寝時にはFacebookの単体利用が増える。つまり、夕食時にテレビで一度広告に接触した後、リラックスしている時間帯に再度Facebook広告でリマインドをかけるといったプランニングを行うことで、より強固に広告の印象を記憶にとどめることが出来る可能性があるのだ。 さらに起床時の単独利用も多いため、次の日の朝、 1日のはじまりに1番初めの広告接触を獲得できる 可能性もある。

 
テレビとFacebook広告の効果をCrossMedia Research(クロスメディア・リサーチ)の結果からクローズアップしてみると、テレビとFacebookの予算比は97対3と圧倒的に異なるのに対して、行動においてはFacebookが圧倒的に強くなる。また、各指標におけるシナジー効果の存在も見逃せない。シナジー効果はテレビのみの接触でも、Facebookのみの接触でも生まれない効果であるため、両メディアを駆使することが重要と解釈できる。


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永遠の課題であるメディア予算の最適化に近づくために

日本の大規模なキャンペーンにおいて、デジタルの予算比は世界的にも、国内的にも低い傾向が見られる。さらに、その投資対効果を見てみるとデジタルメディアはオフラインメディアに比べて、圧倒的に効率的であり、今後、デジタルメディアの消費時間がさらに増えていくことも考えると、デジタル予算を増やす余地が十分にあることがわかる。ただ、その際に注意しなければならないのは、すべてのテレビやオフラインメディアを止めてしまい、デジタルだけに投資するといった極論にならないことである。メディアは、一般的に予算を増やすほど効果の収穫逓減が発生するため、予算が増えるほど効率が悪くなる。また、シナジー効果を考慮すると、広いリーチを持つテレビは、キャンペーンの文脈と温もりを与え、他のメディアで展開する広告をより気づかれやすくしてるという役割を忘れてはならない。実際、Millward BrownがグローバルでCrossMedia Research(クロスメディア・リサーチ)の効果データベースを分析した結果、テレビを使用しないキャンペーンは、テレビを使用するキャンペーンに比べて、その他のメディアの効果が半減するということがわかっている。

 
日本ではスマホの普及にまだ伸びしろがあるため、Facebookに代表されるモバイルやソーシャルの可能性は今後も拡大していくだろう。この機会を組織として享受していくには、積極的に新しいメディアを取り入れて、その効果をCrossMedia Research(クロスメディア・リサーチ)のような調査を通じて検証し、組織としてデジタルをブランディングに活用していく知見を蓄積し、自信をつけていくことが欠かせない。このような活動が、限られたマーケティング予算の中で競合に長期的に差をつける一つのアプローチであり、世界的トップブランドのベストプラクティスとなっている。

 
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本調査に関するお問い合わせ先
デジタル ソリューション / 関井 Tel:03-6859-3229

 
本リリースに関するお問い合わせ先
広報 / 川井 Tel:03-6859-4254 E-mail:Marketing@kantar.co.jp


Asia Pacific 2016 in Tokyo - ESOMARによるイベントのご紹介

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第17回を迎えるESOMAR ASIA PACIFIC、今年は日本での開催となります。
カンターグループからもスピーカーとして3名が、5月18日(水)・19日(木)のConference dayに登壇いたします。ご興味のある方は、Esomarのホームページ(下記にリンクを記載)から参加のご登録を行っていただき、是非足をお運びください。


 日程:2016年5月17日(火)- 19日(木)

 場所:ホテル椿山荘 東京


Esomarホームページへのリンク(英語によるご案内)はこちら



☆ Date : 5月18日(水)11:50 - 12:10
Speaker: Alistair Leathwood, Executive Director,TNS Global, Australia
【New Ground Research】How to Save Two Industries and Make a Little Money--Digital segment targeting in APAC-


Alistair.jpgAs Executive Director for TNS Sydney, Alistair is responsible for the overall leadership and performance of the Sydney business. He also sits on the APAC Regional Board for Digital Innovation.
With a research and strategy career spanning 20 years in the UK, US and Australia, Alistair has demonstrated his experience managing projects using a wide range of marketing, research and consultancy techniques to address central business questions of portfolio management, brand development and positioning, market entry, and product / service innovation.

Alistair is a regular commentator on technology issues and a passionate advocate of the need for companies to embrace digital innovation.



☆ Date : 5月19日(木)09:05 - 09:30
Speaker : Marc de Swaan Arons, CMO & Executive Board member,Vermeer, USA
【Guest Speaker】Insights2020: Driving Customer Centric Growth


Marc.jpgMarc is an acknowledged global marketing leadership thought-leader. He co-authored the 2014 Harvard Business Review article The Ultimate Marketing Machine and the best-selling marketing book THE GLOBAL BRAND CEO.

Marc acts as Chief Marketing Officer of Kantar Vermeer and works with many of the world's most prominent CMOs. He is a frequent keynote speaker at business schools, companies, and industry conferences. He has been quoted and appeared in The Financial Times, Fortune, Forbes, The New York Times, The Wall Street Journal, The Chicago Tribune, The Atlantic, Advertising Age, Campaign Asia, and Marketing Week.
Marc co-founded EffectiveBrands in 2001 following a successful career with Unilever, working in the Netherlands and New York. In June 2014, EffectiveBrands merged to become Kantar Vermeer, WPP's strategic marketing consulting company.

Kantar Vermeer is the only global marketing consultancy focused on unleashing purpose-led growth through the development and embedding of consumer insight-led marketing strategy, structure and capability. As CMO at Kantar Vermeer, Marc spearheads the Marketing2020, Agency2020 and Insights2020 initiatives, and manages all global strategic alliances.
Educated in the UK and the Netherlands, Marc holds a Business Economics degree from the Erasmus University, and serves as a volunteer on the Board of Avenues for Justice, which works to intervene and move young people away from crime. He lives with his family in New York City.



☆ Date : 5月19日(木)16:10 - 16:30
Speaker : ANNE RAYNER,Global Head of Communications Research,TNS GLOBAL, AUSTRALIA
【New Research】AUTHENTIC AMPLIFICATION OR ECHO CHAMBER?
GENERATING BRAND ENGAGEMENT VIA SOCIAL MEDIA


Anne.jpgAnne has specialised in brand and communication research for most of her career, and in her current role is responsible developing and implementing the TNS' global communications research growth strategy. She has helped clients across a broad range of industries with their creative development and testing, touchpoint planning and ROI evaluation, and brand tracking.
She is at the forefront of harnessing the power of social media data in brand and communications research and is a big believer in the power of social and survey data together adding up to more than the sum of their parts.





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カンター・ジャパン 広報



クロスメディア効果測定ソリューションCrossMedia Researchのご紹介

複数メディアのブランド態度変容効果を横断的に検証

市場調査会社の株式会社カンター・ジャパンは、2014年度よりKantar グループのブランドコミュニケーションエキスパートであるMillward Brownが開発したメディア効果測定ソリューション「CrossMedia Research」(クロスメディア・リサーチ)を日本市場で提供してまいりました。個々のメディアごとではなく、複数メディアを横断的に評価することを可能にした本サービスについては、複数のメディアやチャネルを組み合わせた宣伝活動が増える中で国内実施数も増えています。
この度、より多くの日本のブランドマーケターの課題に答えるべく、本ソリューションの概要をご紹介いたします。


複雑化するメディア環境と断片化した効果指標
消費者のメディア消費時間がテレビからデジタルにシフトする中、ブランドキャンペーンにおけるデジタルメディアの活用がより重視されるようになりました。日本は世界に比べるとまだテレビの利用が多い国 ではあるものの、NHK放送文化研究所が実施した「日本人とテレビ・2015」調査 では、20代の16%がテレビを利用していないという実態が明らかになっています。そのため、多くのブランドキャンペーンにおいてデジタルメディアは、1)テレビをはじめとする従来メディアのリーチを補完すること、そして、2)従来メディアとの重複接触を通じて相乗効果をもたらすこと、という大きく2つの役割を期待されることが一般化しつつあります。また、デジタル広告といえば、プログラマティック、ビデオ、ソーシャルメディア、アプリ広告、ネイティブアドなど、新しい媒体・広告フォーマットが次々と生まれており、メディアプランの選択肢は広がり続けていますが、同時に広告効果を評価する際の指標も、クリック、コンバージョン、ビュースルーコンバージョン、視聴完了率、いいね、バズ、完読率、広告認知...など新しい指標が次々と生み出され、効果測定指標は断片化され続けています。

このようにロングテール化するメディア環境において、ブランドマーケターには以下のようなニーズが生まれていると私たちは考えています。



多くのブランドマーケターが抱える課題
多くのブランドマーケターから以下のような課題を抱えているという声を聴きますが、従来の調査手法では高い精度でこれらの課題に十分に答えることができませんでした。(後述)


■ 各メディア「それぞれの効果」は分かっているものの、他メディアとの比較ができず、どのメディアが「本当に意図した効果」をもたらしているのかが分からない。

■ テレビやその他オフラインメディアとデジタルメディアを併用した際のリーチ、フリクエンシー、クロスリーチが分からない。

■ 各メディアが最終的にブランド指標に貢献しているのか、各メディアの役割が知りたい。(例:ブランド認知・イメージ形成・製品購入意向)

■ 広告メディア以外の、口コミ、広報活動、店頭活動といったアーンドメディアやオウンドメディアでの活動の効果も知りたい。

■ MMM(マーケティングミックスモデル)によるメディア予算配分のシミュレーションだけではなく、ブランド課題やキャンペーンの目的に応じたメディアプランニングの示唆を得たい。



カンターのソリューション: CrossMedia Research(クロスメディア・リサーチ)


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そこで、私たちはクロスメディアキャンペーン評価手法としてグローバルスタンダードとなっているMillwardBrown社の「CrossMedia Research」というソリューションを用いて、この課題にお応えします。

CrossMedia Researchは、メディア投資に対してブランド形成にどのようなリターンがあったかを明らかにするための調査として設計されています。各メディアごとの効果や、それを組み合わせることによるシナジー効果はもちろん、ペイドメディア以外のスポンサーシップ、イベント、広報活動、口コミ、バイラルコンテンツ、店頭活動の効果も見ることが出来ます。



「CrossMedia Research」(クロスメディア・リサーチ)の実績

MillwardBrown社がもつチャネル最適化ソリューションの中でも最上位の手法として位置付けられており、世界40か国で、600以上のキャンペーンを評価した世界で最も実績のあるキャンペーン効果測定手法です。

日本でも既に30以上の大規模なキャンペーンで実績があります。


「CrossMedia Research」(クロスメディア・リサーチ)の主な特徴

1.リーチ、フリクエンシー、態度変容効果およびそれらの投資対効率を、さまざまなデバイスやメディアを横断して評価することができます。

2.ペイドメディアとそれ以外の活動要因を切り分けて、純粋なペイドメディアに対する投資のリターンとして態度変容効果を明らかにします。

3.また、ペイドメディア以外の活動によるブランド貢献も報告することができます。



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他のキャンペーン評価調査との違い

◆ リーチは認識ではなく接触

一般的な広告効果測定ではメディアやタッチポイントごとに広告認知を聴取しますが、複数のメディアで展開されるキャンペーンにおいて、消費者はどのメディアでキャンペーンに接触したかを正確に答えることはできません。また、広告を提示する形で広告認知を聴取した場合、一般的には実際のリーチの半分程度のスコアとなり、クリエイティブやメディアによっても変わってしまいます。CrossMedia Researchでは、「認識」に基づく広告認知ではなく、実際の行動データと、普段のメディア消費に関するアンケート結果、広告投下データを組み合わせたOTSという手法を用い、「接触」を基準として、リーチやフリクエンシー、ターゲット内のGRP、態度変容を算出します。

 

◆ 前提関与の統制

通常、消費者は自分でよく使うブランドやよく購入するブランドの広告には気づきやすく、逆になじみのないブランドの広告には気づきにくい傾向があります。そのため広告認知者と非認知者のブランドへの態度を比較しても、その差分は広告効果とは言えません。このため、広告認知を前提とした手法は、メディア効果の測定では不適切であると私たちは考えています。

また、仮に接触を基準とした評価であっても、過去にテレビでの出稿が多かったブランドが新たにデジタルメディアで出稿した場合、テレビのヘビー利用層は過去の広告によく接触していることでもともとのブランド態度が既に温められているのに対して、テレビを見ずにデジタルメディア中心に利用している層は過去に広告が当たっていないのでブランド態度は低い状態にあることがあります。そのため、単純にテレビ接触者とデジタルメディア接触者のブランド態度を比較したとしても、それはメディアの効果とは言えません。

このようなキャンペーンが始まる前の段階ですでにブランドに対する態度(前提関与)が異なっているという問題を解決するために、MillwardBrown社は長年のブランド調査で得たデータと研究から前提関与を統制する手法を開発し、CrossMedia Researchに採用しています。これにより、事前の関与レベルによらず、各メディアをフェアな環境で評価できるようになっています。

 

◆ プリポスト調査ではない
キャンペーン前後で調査するプリポスト比較の調査手法は、キャンペーンという刺激の前後を比較するスナップショットにすぎません。どのタイミングで事後調査をするかによって、キャンペーン効果は変わってしまいます。また、効果の忘却も発生するため、まったく効果がなかったように見えてしまうこともあります。CrossMedia Researchでは、キャンペーンが始まる前、キャンペーン期間中、キャンペーンの後について継続的に実査を行うことで、各メディアの投下、接触、態度変容がどのように発生するかが内包されたデータを収集し、効果の忘却や広告接触頻度による逓減効果を加味した精緻な分析を行うことができます。

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◆ 評価できるメディアの範囲が広い
オフラインメディアではテレビ、雑誌、新聞、駅内広告、中吊り広告、屋外広告、ラジオなどを広くカバーでき、デジタルメディアでは大手ポータルサイトやビデオ共有サイトの他、一般的に効果測定が難しいとされているネットワーク広告やモバイル広告、ソーシャル広告も横断してカバーすることができます。このほかにもバズや口コミ、広報活動といったアーンドメディアや、店頭やDM、ブランドサイトといったオウンドメディアをカバーすることも一定の条件が満たされれば可能です。

 

◆ マーケティングミックスモデリング(MMM)との違い
CrossMedia ResearchはMMMと混同されやすいのですが、両者は異なるものを評価しており補完し合う関係にあります。MMMは、複数のキャンペーンにまたがって各メディアが短期的なセールスに対してどのように貢献しているのかを明らかにします。一方、CrossMedia Researchは、単一キャンペーンにおいて各メディアが長期的なブランド形成にどのように貢献しているかを明らかにします。手法において言えば、MMMはモデリングの過程で消費者の回答データを必ずしも必要とせず、セールスと広告投下情報の時系列相関を中心に最適な予算配分を算出するのに対して、CrossMedia Researchは消費者一人ひとりのリーチとフリクエンシー状況を踏まえた上で、ブランド課題に応じた予算配分シナリオやメディアプランの示唆をより立体的に提供することが出来ます。



※本文を引用される場合は、出典が「カンター・ジャパン」であることを明記してください。

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